2009年2月22日日曜日

竹原にて


「重要伝統的建造物群保存地区 」という言葉をご存知でしょうか?
簡単に言うと建物ひとつひとつはそれほど文化的な価値は無いけれど、町並みとしてみると貴重な地区であるということでしょうか。
今回はそのうちのひとつ製塩の町「竹原」を訪れました。

広島駅から呉線という単線のローカル列車で東へ約2時間の小旅行です。
せっかちな僕にはちょっとつらい時間ですが、この日は1月だと言うのに春のように暖かく、朝日に照らされた穏やかな瀬戸内海の風景を楽しむうちにあっと言う間に到着。
たまにはこんな時間もあってよいか・・・・。

さて、駅前の観光案内所で地図をもらい早速散策開始。期待を裏切らない本格的な江戸時代の街並みです。
赤褐色の格子と白いしっくい壁のコントラストがとても美しい。しかも裏手の山がすぐそこにあって季節にふさわしい背景を作ってくれます。
山道を登るとお寺があり、境内で子供達が陽が落ちるまで遊んでいたに違いありません。
自然にとけこんだ町並み・・・これがここ「安芸の小京都」の魅力でしょう。

2009年2月15日日曜日

吉田神社

京都大学のすぐ東側に吉田神社があります。
観光地としてはあまり有名ではありませんが、某ガイドブックに依ればそこの「斎場所大元宮は大胆なデザインで一見の価値あり」とのこと。

さっそくスケッチしようとやって来ましたが、お目当ては拝殿の向こう。賽銭箱の前に立って覗き見るだけ。とても絵を描ける状態ではありません。
がっかりして、帰ろうとふと別の参道を見上げると、いかにも古びた階段を上った先に鳥居が建っています。
薄暗い森の中で浮かび上がる姿は神々しく、信仰心の薄い僕でさえ思わず目を見張ってしまいました。

鳥居とは神々の世界への門だそうです。
輝く光に引き寄せられて、階段を上って、そこをくぐったら・・・・その素朴な想いに本殿はいりません。
重要文化財のスケッチが出来なくても、そんな連想が、僕を十分に満足させてくれました。

2009年2月8日日曜日

長楽館

先週描いた東華菜館から真っすぐ東に歩くと、有名な八坂神社があります。
まわりの観光客についてゆくとそのまま境内に入ってしまいますが、あえて逆らってその南の道に迂回するとこのシーンが現れます。

正面に見えるのは「長楽館」。
設計者はヴォーリズほど多くの作品は残していませんが、やはりアメリカ人でジェームズ・ガーディナーという人です。
当初迎賓館として建てられたらしく、豪華な造りで、命名は伊藤博文とか。
べんがら色の板塀に石造りの洋館の取り合わせがいかにも京都らしい趣を見せてくれています。

スケッチしてると、人力車がやって来て目の前に止まりました。車夫のおにいさんが観光客に得意げに説明しています。
いつもなら、「わざとらしい・・・」としか思わない僕ですが、今日は別です。
走り行くその後姿は、この風景が熱き明治時代のものであったことを改めて思い起こしてくれました。

2009年2月1日日曜日

東華菜館


以前、京都鴨川の河原からレストラン菊水と南座が並ぶ様をスケッチしました。その対岸にこの「東華菜館」があります。
設計者はヴォーリズという人で、明治末期にアメリカからやって来て、日本に帰化した建築家です。
特に関西に数多くの作品を残しており、個人の設計者として登録された重要文化財の数はNO.1を誇るそうです。

鴨川の河原から見上げると、周りのありふれた建物と一味違うその存在感に圧倒されます。
用途は当時(大正15年)大流行していたビアホール。
外壁テラコッタの濃密な装飾とその華麗で重厚な表現は、ビールを飲みながら語る「大正ロマン」の熱気を伝えてくれているようです。