2011年3月27日日曜日

万福寺 鐘楼

中国風のデザインは「総門」だけではありません。三門、天王殿、回廊と進むに連れそこかしこに風変わりな文様と建物が現れます。

 回廊に面して建つこの「鐘楼」もそのひとつ。跳ね上がる様な屋根の反りと威圧的なプロポーション。軒下の垂木は放射状に配置された典型的な「扇垂木」で、「平行垂木」の和様とはまったく異なります。

 こんな異彩を放つお堂が16棟も重要文化財として登録されているにもかかわらず、境内は人影まばらで、静寂そのもの・・・一瞬、時間が止まったかのような感覚さえ覚えます。

 騒がしい観光情報に満ちた京のガイドブックに飽き足りないあなたへ。
この静かな「異国の香り」を是非感じてみてください。

2011年3月20日日曜日

萬福寺 総門

京阪電車で宇治駅から北へ5分、「黄檗」駅で降りさらに東へ5分ほどの距離に萬福寺があります。

平等院や宇治上神社を見た後にこの総門を見ると、その雰囲気の違いに驚いてしまいます。
平等院の軒が優美な曲線を描くのに対してこちらは直線的で急勾配。
宇治上神社が横長のおとなしいプロポーションなのに対してこちらは縦長で威圧的・・・そう、大陸的、中国的なのです。

それもそのはず、このお寺は江戸時代に明から僧を招いてわざわざ作らせたとのこと。
こんな近い距離に、これほどお国柄の違いを感じる建物を一緒に見ることができるなんて・・・歴史のいたずらに感謝です。

2011年3月13日日曜日

宇治上神社

厳しかった寒さもやっとやわらいできたようです。2月にしては、暖かかったこの日、久しぶりに京都方面に出かけました。

宇治にある世界遺産としては平等院が有名ですが、この宇治上神社も規模は小さいながら世界遺産で国宝です。
そう聞くと、さぞかし荘厳な建物だろうと想像してしまいますが、意外に小ぶりで親しみやすい神社です。
 桧皮葺の屋根や、跳ね上げ式の蔀戸(しとみど)、舞良戸(まいらど・・・横桟の引戸)など住宅風の建具が使われているせいかもしれません。

そうは言っても、さすが世界遺産の神社。
その背景に柔らかな冬の光に輝く御神木の姿を重ねると、のどかだった景色はたちまち非日常的な宗教空間に変わります。
そう、素朴な信仰心に凝った仕掛けは必要ないのです。

2011年3月6日日曜日

ジャイナ教寺院

うろこの家から西へ10分ほど歩いたところにこの奇妙な建物があります。
随分前からその奇抜なデザインが気になっていました。
頂部の塔はインドか、いや東南アジア風か?
ドラゴンの門は中国にもあったような・・・
調べてみると日本で唯一の「ジャイナ教寺院」とありました。
宗教建築だけあって、威厳があり古そうに見えますが、出来たのは1985年。意外に新しいのです。
スケッチをしていると、どう見ても日本人の大学生が数人寺院から出てきました。何事か会話を交わしています。どうも次回の集合を打ち合わせているよう。
彼らはジャイナ教の信者なのだろうか。まさか・・・。