2012年2月26日日曜日

松連寺

もうひとつ高梁市の歴史遺産としてこの松連寺(県指定重要文化財)があります。
特徴はご覧の通り、圧倒する巨大な石垣と、鐘楼、本堂の絶妙なバランスです。
ちなみに、すぐ下は田圃なのに何故わざわざこんな石垣を積んでお寺を造ったのかというと、戦国時代は備中松山城の城塞として使用されていたからだとか。
城下町のお寺には、それなりの事情があるようです。

本堂は江戸時代初期の建設で、かなり古びています。
しかしよく見ると、屋根は赤い石州瓦、板壁はべんがら塗りで吹屋の町と同じ造りです。
山奥と城下町、山村の民家と大寺院と営む生活も使用目的も違うはずですが、建築の文化には共通したものがあるようです。
こんな些細な事実を発見するのも、スケッチの楽しみかもしれません。

2012年2月19日日曜日

備中松山城

吹屋からまたバスで揺られて1時間、JR高橋駅からさらにバスで15分、
松山城の中腹に来ます。
そこから徒歩で天守閣を目指します。
険しい山道を歩くこと30分、やっと到着です。

松山城は国指定重要文化財。
本物の天守閣がある城としてはもっとも標高が高い城だそうです。
城主はいわゆる有名な武将はおらず、何度も交代しています。
小ぶりですが、本瓦と白い漆喰、濃い色の板壁が美しいコントラストを見せています。
でもなによりも、素晴らしいのはここは険しい山の頂(いただき)であること・・・その美しい姿を邪魔するものは何も無いのですから。

2012年2月12日日曜日

吹屋の町並み その2

さらに坂道を下って町外れまできました。
振り返ると、やはり赤く染まった町並が見えますが・・・さて皆さん、もうひとつの特徴にお気づきでしょうか。
普通、日本の歴史的な町並みでは道に対して切り妻屋根の軒方向から入る「平入り」、妻側から入る「妻入り」どちらかで統一されています。
全国的には「平入り」が圧倒的に多く、「妻入り」はこのブログで取り上げた篠山市河原町の商家群など少数派です。
この街はご覧のようにまったくの「ごちゃ混ぜ」。
京の町屋のような軒を揃えた美しさはありません。
しかし考えてみれば、この街の蛇行する山道の起伏に合わせて軒を揃えてもきっとその苦労は僕らの視界に入りません。
むしろ、「変化」させるほうが面白い・・・などと昔の人が思ったのかどうか、
でもこれもまた、歴史の知恵なのかもしれません。

2012年2月5日日曜日

吹屋の町並み

小学校の坂道を下ると、
お目当ての「吹屋伝統的建造物群保存地区」の町並みが現れます。
目を惹くのは街の「赤」。
屋根は赤い石州瓦。
格子戸や板壁はすべてべんがら色に塗られています。
街を「赤」で染めるなど、現代人の感覚ではなかなか勇気がいります。
でも、すべてが自然の素材だからでしょうか、単純な赤色はどこにもなく、黄色味を帯びたもの、ピンクに近いもの、あるいは枯れた木の肌となじんだ赤茶色など、とても複雑な表情をしています。
山あいの小さな鉱山の街は、「赤色」がその歴史を語ります。