2013年4月28日日曜日

龍野の町並み


龍野は「播磨の小京都」と呼ばれる旧脇坂藩の城下町。
ゴールデンウィークの初日、期待に胸を躍らして電車に飛び乗りました。
姫路から姫新線というローカル電車に揺られ20分。ワンマン電車らしく、自分でボタンを押してドアを開き、ホームに降り立ちます。

江戸の文化と龍野の自然がとけあった見事な町並み・・・
は、残念ながらどこにもありませんでした。
あるのは、格子戸を取り払い、シャッターやアルミサッシを嵌め、うだつの横にエアコンの室外機を置き、腰の木羽目をタイルに張り替えた奇妙な建物ばかり。
あるいはコンクリートブロック塀に白ペンキを塗って「白壁の通り」とうたう無神経さ。
絵になるシーンを足を棒にして一日中探しましたが、「美しい」と思える場所はとうとう見つからず。

「今日は成果なし」と諦めかけましたが、考えてみれば僕の憤りは「地方の真実」でもあります。
それを描くのも悪くない。

ご覧のように、屋根は崩れかけ軒先は垂れ下がっています。
柱の間には、やはりシャッターが。色はくすんでもう何年も開けた形跡がありません。
人はもう住んでいないのだろうと思っていたのですが、スケッチブックを閉じ、帰路につこうとした瞬間、人が出て来ました。
どうやら用事は壁に埋め込んだ(赤と青の)自動販売機のメンテナンスのよう。
この町並みの真実がここにあります。