2016年1月17日日曜日

書写山 円教寺 摩尼堂


 個展のアンケートで気がついたことがもうひとつありました。風景画のほうが人気があったのは前回お知らせしたとおり。でも同じ風景画でも人気の無いジャンルがあります。さてそれはどんな絵だと思いますか?
 答えは建築だけをアップで描いた絵。僕は仕事柄、ディテールのすばらしい近代建築などはつい建物単体を一生懸命描いてしまいますが、普通の人にとってはそれはとても退屈のよう。同じ建物でも、自然の風景に溶け込んだものでないとどうやら「風景画」として認められないようです。
 というわけで今日取り上げるのは「書写山円教寺の摩尼堂」。2年ほど前にスケッチししました。この摩尼堂、いかにも堂々として古く見えますが、調べると昭和になってからの再建で設計は武田五一(辰野金吾の最初の教え子で京都大学建築学科の初代教授)だそうです。
 でも描きたかったのは摩尼堂ではなくそれを背景にした巨木。季節は5月。若葉の黄緑色がとても鮮やか。その美しさには失礼ながら武田先生の作品もかすんでしまうようです。