2017年7月24日月曜日

静寂 角館


小野田家はありがたいことに無料で解放されています。門をくぐると玄関があり来客者用の主入口の左に住居用の小ぶりな入口があります。座敷に上がると気持ちのよさそうな庭がひろがります。当然のように縁側に座りちょっと休憩。
視界いっぱいに広がる鮮やかな緑。7月とはいえ、まだ初旬。天気が曇りがちなこともあって、このみちのくでは蒸し暑さなど無縁。わずらわしい気配がすべて消え、五感が自然に融けこむかのような感触・・・たぶん、これこそまさに本当の「静寂」。

2017年7月15日土曜日

大樹の門 角館(かくのだて)


 このブログで何度も取り上げている「重要伝統的建造物群保存地区」の選定制度が施行されたのは昭和51年から。今から40年ほど前、僕が名古屋大学の建築学科に入学した翌年にあたります。
  実は僕が古い建物をスケッチし始めたのはこの制度と「町並み保存」という運動を知ったのがきっかけでした。特に妻籠、白川郷、三寧坂、祇園、萩、角館はこの制度による第一回の選定地区であり、建築を学び始めた大学生の僕に「人」と「町並み」という大切なキーワードを意識させてくれた町でもあります。
  その後どの町も直に目に触れ、スケッチをしたこともあったのですが一度も訪ねたことがなかった町が、今回の「角館」だったのです。
 さて建築を専攻した者としては期待を胸に出かけたものの、実はスケッチをする者としては一抹の不安を感じていました。武家屋敷って敷地の奥のほうにあって、道路からは門と塀しか見えないのでは?そうだったら絵になるかな?・・・というもの。
 ではさっそく武家町に足を踏み入れてみましょう。最初に出会うのが今日のモチーフ、小野田家の「門」。想像した通り見えるのは門と塀だけ。
 でも御覧の通り心配は無用でした。夏の深緑と木漏れ日。武家の歴史を語るモミや赤松の大木、格式ある門・・・画題として不足なし!。スケッチブック6号の画面が狭すぎるくらい、思い切りペンを走らせてみました。
題して「大樹の門」。40年目に味わう感動でした。