した。
まずは鉛筆で下絵を描きます。「若い女性」らしさのポイントはやはり表情。うりざね顔よりも丸顔のほうが優しい感じがするし、切れ長の眼よりもつぶらな瞳のほうが、未来への憧れのようなものを感じさせます。唇は微笑んでいるより軽く閉じているほうが何か言いたげで頼りなさを感じていいな・・・などとイメージのままに描き込みます。
さて問題は着彩です。「清楚な」イメージを大切にするにはブラウスの白はできるだけまばゆく、清潔に描きたいものです。ですが水彩画では紙の白地をいかにきれいに塗り残すかを考えるしか方法はありません。テクニック的には、ブラウス以外の部分は、どんなに明るい部分でも必ず色を重ね、その比較で白を際立たせることにします。そしてブラウス部分はなるべく色を重ねずグレーの鉛筆のグラデーションを生かします。
背景は、もちろんわざとらしい洋館のインテリアなど描きません。できるだけシンプルに、ただしブラウスの白の美しさを邪魔しないように、様々な色を混ぜてグレー調に仕上げてあります。
かくしてこの日のモデルさんにはまったく似ていない絵が出来上がりました。でもかの小磯良平さんも、実はまったくモデルさんの顔を見なかったとか・・・。たまにはこんな絵もあっていいのだと言い聞かせることにします。