2018年12月28日金曜日

イメージを描く

 本日のモデル嬢。フリルのついたブラウス、上品な帽子と赤のロングスカート。そしてかしこまったポーズ・・・おしゃれな洋館に住むお嬢様を描いてと言わんばかりの構図です。でもここまで条件がそろうと、面白みに欠け、さからいたくなるのが人情と言うもの。そこで今回はモデルさんにとらわれず、勝手に「清楚な若い女性」を描くことにしま
した。
 まずは鉛筆で下絵を描きます。「若い女性」らしさのポイントはやはり表情。うりざね顔よりも丸顔のほうが優しい感じがするし、切れ長の眼よりもつぶらな瞳のほうが、未来への憧れのようなものを感じさせます。唇は微笑んでいるより軽く閉じているほうが何か言いたげで頼りなさを感じていいな・・・などとイメージのままに描き込みます。

 さて問題は着彩です。「清楚な」イメージを大切にするにはブラウスの白はできるだけまばゆく、清潔に描きたいものです。ですが水彩画では紙の白地をいかにきれいに塗り残すかを考えるしか方法はありません。テクニック的には、ブラウス以外の部分は、どんなに明るい部分でも必ず色を重ね、その比較で白を際立たせることにします。そしてブラウス部分はなるべく色を重ねずグレーの鉛筆のグラデーションを生かします。
 背景は、もちろんわざとらしい洋館のインテリアなど描きません。できるだけシンプルに、ただしブラウスの白の美しさを邪魔しないように、様々な色を混ぜてグレー調に仕上げてあります。
 かくしてこの日のモデルさんにはまったく似ていない絵が出来上がりました。でもかの小磯良平さんも、実はまったくモデルさんの顔を見なかったとか・・・。たまにはこんな絵もあっていいのだと言い聞かせることにします。

2018年12月20日木曜日

暑い日


 ノースリーブのモデルさん。麦藁帽子にサングラス。ここまで小道具がそろうと、タイトルは・・・「暑い日」でしょうか?
 まずはいつものように鉛筆でスケッチします。制作のポイントはやはり肩の表現。服のしわがない分、女性らしい自然な丸みを出すのが難しい。気に入った線になるまで手を入れましょう。
 そして着彩。TVのコマーシャルなら「小麦色の肌」をうたうところでしょうが、今回は見たままの、むしろ色白の肌に仕上げます。こちらも十分に魅力的です。
 背景は「海」がふさわしいのでしょうが、あまりに構成しすぎるとポスターのようになってしまいます。今回は空と海と草原がなんとなくイメージできるようなバックを描いてみました。
 冷房の効いたアトリエの「暑い日」・・・いかがですか。