2018年3月25日日曜日

青衣の婦人

 皆さんはフェルメールの「青衣の婦人」という作品をご存知ですかタイトルの通り衣装のブルーを基調とした画面は落ち着きがあってさすがフェルメールと思わせます。前回描いた「紫色のベレー帽」が僕にとって「すんなりと」仕上がったのもやはり落ち着いた青の色調が腑に落ちたからです。
 さてそこで今回。ご覧のように服の模様は大柄で色は派手でカラフル。青で画面を統一する手はもう使えません。でもこんな大胆な色彩も女性ならではのもの。そう考えると案外面白い絵になるかもと、気分を変えてチャレンジしてみました。
 上図が着色前の下書きですが、ちょっと一工夫してあります。いつもは人体の影までを鉛筆で描いたら、色を濁らせないように服の模様などは白地に直接着彩することにしています。でも今回の服の色をそのまま塗っていくと派手な色対比が目を引きすぎて人物に焦点が行かなくなってしまいそうです。
 そこで仕上がりが落ち着いた画面になるよう、どの色にも鉛筆の濃淡を施しておきます。ブルーの部分は赤よりも濃く、白とグレーの部分も合わせて濃さを調整します。そして服の襞の影も全体を見ながら濃さを調整します。「そんなの当たり前!」と言う方自分でチャレンジしてみてください。濃淡の諧調が何段階も増えることになるので結構大変なのですから。
 ここまで下書きを終えた後に着彩したのが最初の絵です。かなり派手な赤や青を塗っても大丈夫。下にある鉛筆の線が画面全体をうまくグレー調にまとめてくれました。

2018年3月17日土曜日

紫色のベレー帽



振り返ってみると、このブログで人物画を取り上げるときはいつも苦労話ばかり。
もたまには、すんなりと仕上がるときがあるのです。どんな時かって?
そう、例えば・・・、
このモデルさんはいつも笑顔が可愛らしい。
服装は余計な飾りが無くシンプルで趣味がいい。
うすい青緑のトーンでまとめたカーティガンとスカートの色調は清潔感があってよく似合う。
胸元の襟とベレー帽だけ紫色。にくい配色。
僕の感性にぴったり。
あとはそれに合う背景を考えるだけ。
ちょっと赤みがかったブルーの壁紙。左側からやわらかい光が差し込んでいるように。
・・・というわけで完成。
いつもこんな風に悩まずに仕上がるといいのだけど。