2017年9月25日月曜日

夏を描く その2


  試しにグーグル検索で「夏」「女性」と入れると海と水着の画像がずらり。どれもちょっと開放的過ぎて今回の背景には不向きです。そこで「椅子」というキーワードを加えてみます。すると山や高原、別荘のテラスのような画像が現れます・・・だいぶイメージが湧いてきました・・・言葉にすれば「避暑地の高原」でしょうか。
 でも角度的にぴったりと背景にはまるような画像はありません。あったとしても著作権が厄介なので、今回は勝手なイメージで背景を作ることにしました。別荘の家具やテラスなどは描きません。具体的な素材があると季節よりも場所のイメージが強くなってしまうからです。色調は夏の高原らしく明るい黄緑色に、太陽の光が白く反射する部分と濃い影を落とす部分をバランスよく配置して・・・距離感を出すために奥のほうは水を吸わせた太い筆でぼかします。さわやかな草原らしく足元の草は風になびく感じで・・・・。
 という訳で、背景を全面的に修正したのが今日の作品です。本来水彩画は出来上がりのイメージを予想して描き始めるのが基本。でもこんなこともあります。皆さんもイメージ通りになるまであきらめず・・・。

2017年9月18日月曜日

夏を描く

暑かった夏ももう終わり。夏の間に描いた作品をいくつかお見せします。
今日のモデルさんの装いはノースリーブのワンピースにショール。ちょっと脚を投げ出して開放的な雰囲気。
いつものように鉛筆でデッサンしたのち、薄めの水彩で着彩。(デッサンのプロセスを復習したい人は以前のブログを参照してください。基本は同じです。)
さて改めて全体をチェック。女性はイメージ通りに出来上がりつつあるのですが、背景はいつものアトリエのまま。せっかくの夏の装いが台無しです。そこで背景を夏らしく工夫することにします。どんな背景がふさわしいと思いますか?
僕の案は来週に。みなさんも考えて見てください。

2017年9月11日月曜日

貧しき武家

 
 角館に現存する主要な武家屋敷はどういう訳かすべて城下町メインストリートの東側に並んでいます。西側は道沿いに塀だけは修景されているものの、その内側は空き地であったり、現代的な公共施設が建っていたり、見るべき保存建物は残っていません。なぜなのでしょう?
  その理由はどうやら町の区割りにあるようです。資料によれば東側は家老級の武士に、西側は足軽の住居に当てられていました。つまり西側は「貧しき武家」のゾーンだったのです。おそらく彼らには家屋や土地を維持するだけの意思も財力も無く、明治以降の時代の変遷にその運命をゆだねてしまったのでしょう。
 でも実はそのゾーンに一軒だけ残っている家がこの「松本家」です。当然立派な塀や門は無く、正面にあるべき来客用の入口もありません。屋根は石を置いて葺き材を押さえる民家方式。家屋の回りは庭園というより菜園スペース。空を覆うほどの大樹など植えられるはずも無く、屋根の上には夏の入道雲が広がっています。
  角館最後の一枚は身分差の厳格な武家社会のスケッチでもあります。