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2018年3月25日日曜日

青衣の婦人

 皆さんはフェルメールの「青衣の婦人」という作品をご存知ですか。タイトルの通り衣装のブルーを基調とした画面は落ち着きがあってさすがフェルメールと思わせます。前回描いた「紫色のベレー帽」が僕にとって「すんなりと」仕上がったのもやはり落ち着いた青の色調が腑に落ちたからです。
 さてそこで今回。ご覧のように服の模様は大柄で色は派手でカラフル。青で画面を統一する手はもう使えません。でもこんな大胆な色彩も女性ならではのもの。そう考えると案外面白い絵になるかもと、気分を変えてチャレンジしてみました。
 上図が着色前の下書きですが、ちょっと一工夫してあります。いつもは人体の影までを鉛筆で描いたら、色を濁らせないように服の模様などは白地に直接着彩することにしています。でも今回の服の色をそのまま塗っていくと派手な色対比が目を引きすぎて人物に焦点が行かなくなってしまいそうです。
 そこで仕上がりが落ち着いた画面になるよう、どの色にも鉛筆の濃淡を施しておきます。ブルーの部分は赤よりも濃く、白とグレーの部分も合わせて濃さを調整します。そして服の襞の影も全体を見ながら濃さを調整します。「そんなの当たり前!」と言う方、自分でチャレンジしてみてください。濃淡の諧調が何段階も増えることになるので結構大変なのですから。
 ここまで下書きを終えた後に着彩したのが最初の絵です。かなり派手な赤や青を塗っても大丈夫。下にある鉛筆の線が画面全体をうまくグレー調にまとめてくれました。

2018年3月17日土曜日

紫色のベレー帽



振り返ってみると、このブログで人物画を取り上げるときはいつも苦労話ばかり。
でもたまには、すんなりと仕上がるときがあるのです。どんな時かって?
そう、例えば・・・、
このモデルさんはいつも笑顔が可愛らしい。
服装は余計な飾りが無くシンプルで趣味がいい。
うすい青緑のトーンでまとめたカーティガンとスカートの色調は清潔感があってよく似合う。
胸元の襟とベレー帽だけ紫色。にくい配色。
僕の感性にぴったり。
あとはそれに合う背景を考えるだけ。
ちょっと赤みがかったブルーの壁紙。左側からやわらかい光が差し込んでいるように。
・・・というわけで完成。
いつもこんな風に悩まずに仕上がるといいのだけど。

2017年11月19日日曜日

アルハンブラの踊り子 その2

A図
B図
上の図(A図)が完成図、下の図(B図)が途中のプロセスです。違いを説明しましょう。
 透明水彩の基本テクニックはいきなり濃い色を塗らないこと。明暗のバランスを一度間違えると修正がきかないからです。B図は薄い色を一通り塗り、画面の明暗を確認し終わった段階です。特に今回は室内と窓の外の風景を合成しているので、統一感を損ねないように慎重に色を重ねる必要があります。
 B図に手を加えた項目は、まず衣装の赤色。フラメンコの華麗な踊りを連想してもらうためにもなるべく派手な赤を塗ります。具体的にはパーマネントアリザリンクリムソンに少しバーミリオンを混ぜてあります。
 次に肌の色。B図のままでは白っぽすぎるので、全般的に肌色を重ねると同時に、踊り子の表情に合わせやや赤みを強くしました。
 背景は室内の壁を砂色に近いベージュに、窓の外の風景は距離感を出すために遠くは薄く、手前を濃くします。室内が赤やベージュ系の色ばかりなので、樹木の緑色は特に重要です。少し鮮やかに、影も濃い目に処理しましょう。
 そして最後に悩むのが胸に下がったショールのレース。油絵であれば最後に面相筆で純白のラインを引いておしまいなのですが、水彩画はいったん真っ赤に塗ったドレスの上に白を塗っても白くはなりません。そこで今回は鉛筆を削るカッターナイフを使用します。刃を立ててゆっくり、慎重に画用紙を削ってゆくのです。美しく切らないほうがレースの編んだ感じが出ます。どうぞ胸の部分を拡大してみてください。僕の苦労のほどが理解していただけると思います。
 自分でもこの絵は気に入っています。次回の個展(開催日まだ未定ですが・・・)に出品する予定ですので、皆さん是非この作品の原画を見にお越しください。

2017年11月12日日曜日

アルハンブラの踊り子 その1

アーチ型の窓の向こうに見えるのはあのアルハンブラ宮殿。フラメンコの衣装を着た踊り子が静かに佇んでいます。完成後のタイトルは「アルハンブラの踊り子」。今回はその創作プロセスをお見せします。
 このモデルさんはフラメンコが踊れるそうで、ポーズも表情も、とても自然です。いつにもまして創作意欲を刺激され、まず鉛筆で一気にここまで描きあげました。
 いつもは悩む、人物の背景も今回はスペインの風景で決まり。それも有名なアルハンブラ宮殿にしたいと思うのは当然でしょう。 
 ただ、「静かに佇む」このポーズはどう見ても室内のシーン。いきなり宮殿の庭に座っているのもちょっと変です。
 絵として自然に見せるにはちょっと工夫が要ります。描きたかったアルハンブラの風景をアーチ型の窓で切り取るのです。これで室内のポーズと屋外のイメージが重なる不自然さが解消されます。あとはインテリアもアルハンブラ調に統一して・・・下書きは完成です。
 背景は方針さえ決まればすぐに出来るかのように書きましたが、実は自分のイメージに合う写真や資料はインターネットやフリー素材の写真集からはなかなか見つかりません。
 今回は昨年スペインに旅行した時の僕の個人写真やスケッチを利用しています。もちろんこの絵に利用するのことを予測していたわけではありませんが、それとなく写真の角度やディテールをそれなりに選択していたことを感じました。
 皆さんも旅行に行ったとき、「はいチーズ」の記念写真に加え、「背景素材」を意識した写真をためておくよう心がけることをお勧めします。

2017年10月19日木曜日

夏を描く その3

今回のモデルさんはノースリーブに麦藁帽子。衣装もポーズも夏らしくて申し分ありません。
例によってまずは鉛筆でデッサンします。肩や腕の曲線と色白の肌が印象的だったのでなるべく柔らかい線で、肌の部分には濃い線を重ねすぎないようにします。ここまでで約2時間。

続いて着彩です。肌色はいつもよりも薄めに、画用紙の白さを生かすように仕上げます。バックは白っぽい肌の曲線を強調するために、シンプルにグレーでまとめてみました。
実は今回はこの段階で友人に貴重なアドバイスをもらいました。
一つは腕や肩のラインを強調し過ぎたせいか、左腕が女性らしくないというもの。なるほど肩から腕にかけての筋肉が不自然…。
もう一つはバックが暗すぎると言う意見。なるほど、僕が目指す「優しい絵」に相応しくない…。持つべきものは友達です。
さてそこでまたまたバックを修正することに。ただしシンプルな表現とすること、人物を引き立てる配色とするという方針は守ることにします。前回は「避暑地の高原」というテーマでバックをまとめましたが、今回はもっと抽象的に、でも明るい夏のイメージだけは出したいと考えました。そこで画面の左上部分の鉛筆を練りゴムでごしごしと落とします。明るくなりました。そこに水をたっぷり含ませたブルーをぼかして塗ります。そのほかの部分はレモンイエローとビリジアンを濃い目に鉛筆の明暗と調和させながら置いていくようにします。細かな背景は描きません。見る人に夏の空と緑を連想してもらうことにしましょう。そうそう、指摘された腕も女性らしく見えるように修正して。
夏の女性・・・完成です。

2017年9月25日月曜日

夏を描く その2


  試しにグーグル検索で「夏」「女性」と入れると海と水着の画像がずらり。どれもちょっと開放的過ぎて今回の背景には不向きです。そこで「椅子」というキーワードを加えてみます。すると山や高原、別荘のテラスのような画像が現れます・・・だいぶイメージが湧いてきました・・・言葉にすれば「避暑地の高原」でしょうか。
 でも角度的にぴったりと背景にはまるような画像はありません。あったとしても著作権が厄介なので、今回は勝手なイメージで背景を作ることにしました。別荘の家具やテラスなどは描きません。具体的な素材があると季節よりも場所のイメージが強くなってしまうからです。色調は夏の高原らしく明るい黄緑色に、太陽の光が白く反射する部分と濃い影を落とす部分をバランスよく配置して・・・距離感を出すために奥のほうは水を吸わせた太い筆でぼかします。さわやかな草原らしく足元の草は風になびく感じで・・・・。
 という訳で、背景を全面的に修正したのが今日の作品です。本来水彩画は出来上がりのイメージを予想して描き始めるのが基本。でもこんなこともあります。皆さんもイメージ通りになるまであきらめず・・・。

2017年9月18日月曜日

夏を描く

暑かった夏ももう終わり。夏の間に描いた作品をいくつかお見せします。
今日のモデルさんの装いはノースリーブのワンピースにショール。ちょっと脚を投げ出して開放的な雰囲気。
いつものように鉛筆でデッサンしたのち、薄めの水彩で着彩。(デッサンのプロセスを復習したい人は以前のブログを参照してください。基本は同じです。)
さて改めて全体をチェック。女性はイメージ通りに出来上がりつつあるのですが、背景はいつものアトリエのまま。せっかくの夏の装いが台無しです。そこで背景を夏らしく工夫することにします。どんな背景がふさわしいと思いますか?
僕の案は来週に。みなさんも考えて見てください。

2017年4月16日日曜日

チャイナドレスの人物を描く その4



 チャイナドレス編いよいよ最終回です。前回はチャイナドレスの華やかさを出すための、全体の色付けの方針を確認しました。今日の狙いは全体に色を濃くして、絵の存在感を高めることです。
 まず背景。遠景の森は薄いブルーで軽く塗っただけでしたが、緑を濃くします。ただしヴィリジアンのような鮮やかな緑を塗ると人物よりも目立ってしまいます。今回はサップグリーンを中心に、川の反射光を受けるので少し紫色を混ぜておきます。
 次に川。反射する波がポイントなので、例によってマスキングインクで明るい部分をマスクしておきます。水面に森やお堂の暗い映り込みを描きこんだ後、インクをとって明るい部分に波を描きこみます。
 同様に手前の草もあまり克明には描きません。。細筆でぼかし気味に草の流れを描き込みます。アクセントに花がほしいのでやはりマスキングインクを使い、最後に花の色をのせます。
 そして足元の材料。実際にはアトリエの床はビニルシートでしたが、それでは雰囲気が台無しなので今回は石畳に変更します。石の材質感がでるまで何度も重ね塗りしましょう。
 さてこうやって背景を描きこんでいくと、前回一通り塗ったチャイナドレスの赤が薄く感じられてきます。そこで全体のバランスを見ながらもう一度バーミリオンを重ねます。服の明暗を損なわないように注意深く塗ってください。最後に人物の明暗をチェックしてあごの下、胸の下、服の皺、ドレスのスリット部分など一番濃い部分にもう一度影を入れて完成です。
 この絵のタイトルは中国らしく「山紫水明」としました。再来週からの僕の個展に出品します。もっと詳しく絵について語りたいという方、是非個展にご来場ください。お待ちしております。

追伸 個展情報を再掲します

加藤美稲水彩画展
日時 2017年4/27(木)~5/2(火) 11:00~19:0
場所 茶屋町画廊 chayamachi.com/gallery-guide/map.html
    ‎

2017年3月23日木曜日

チャイナドレスの人物を描く その3


 さて着彩です。今回のメインテーマであるチャイナドレスの色は鮮やかな赤。大切なことはいかにその艶やかさを表現するかということです。こういう時油絵は比較的容易です。一番上の層に明るい赤を塗ればそれで事足りるのですから。(油絵は簡単と言ってるわけではありませんよ。念のため。)
 でも(透明)水彩ではそうはいきません。どんなに上から派手な色を塗っても下の色より華やかになることはないし、一度暗くした部分はその上にどんな明るい色を塗ってもそれより明るくなることはありません。特に今回は全体的に鉛筆で明暗を施しているため、下地そのものが白くはありません。
 それではこのチャイナドレスをより鮮やかに、明るく見せるためにはどうしたらいいのでしょう?答えは「比較の効果」を使うこと。たとえば同じ色でも隣合う色が地味で、暗い色であればあればその色はより鮮やかに明るく見えるし、赤と緑のように補色の関係になっていればお互いを引き立ててくれます。
 ではさっそく試してみましょう。先に書いたように、陰の部分を一度濃くしすぎるとその周辺はそれより暗くすることしか出来ず全体が明暗の階調の少ない貧相な絵になってしまいます。失敗しないこつは最初は水を多めに色は薄くざっくりと調子を確認しながら塗ることです。
 具体的に説明しましょう。まず背景を全体的にドレスよりも暗くし、色味は赤の補色であるグリーン寄りに、かつ彩度を抑えたグレーで全体を統一します。足元の床材も、植栽も、川も森も生の絵の具は使いません。どこも赤、緑、青の絵の具を適度に混ぜて彩度と明度を落としています(色が濁るので黒と白の絵の具は使いません)。更に背景全体の色相は赤と補色の関係にあるグリーンを強くします。そして生のバーミリオンを使うのはチャイナドレスの一点だけに絞ります。こうすることによって透明水彩の薄い赤でも艶やかな赤に見えるのです。いかがですか?
今回で全体の色調は確認できました。ただちょっとまだ全体的に色味が薄く、存在感が希薄です。次回はフィニッシュまでのプロセスをお見せします。お楽しみに。


2017年1月31日火曜日

人物画を優しく描こう その5


 「ぼかし気味」の優しい人物画・・・着色編です。僕の場合、鉛筆で下書きに濃淡がついていても、かまわず上から絵の具で濃淡をもう一度つけていきます。それは鉛筆の白黒の陰に色の深みをつけることが目的なのですが、その段階で場合によっては筆のラインが強く出すぎることが往々にしてあります。
 そこで今回は明暗は鉛筆の線生かしほとんど素材の色だけを重ねるようにしました。筆跡はほとんど残しません。うすくぼかすように色を置いてゆきます。ですから近くで見ると鉛筆の線がけっこうラフに残っているのですが、あくまで全体の調子を大事にし、細かな線は気にしないことにします。
 背景も同様にしてうすい色を、水をたっぷりと含ませた筆で重ねます。背景色はオーソドックスに茶色にしましたが、ぼかし気味の絵ではちょっと単調になりすぎたので、画面の下半分にグリーンを加えました。画面に奥行きが出て人物が浮かび上がる効果があったようです。
 これで完成。今回の「優しい人物画」いかがでしたか?皆さんのご意見をお待ちしています。


2017年1月29日日曜日

人物画を優しく描こう その4


 優しい人物画を描こう・・・今回のテーマは「ぼかし気味に」です。前回のように人物の表情にこだわろうと思うと、どうしても顔を克明にはっきりと描きたくなります。それは一方で人物に「見られているような気がして飾る気がしない」というようなマイナスの感想を生むことにもなります。そこで今回はあえて表情をぼかし、画面全体の優しい雰囲気を表現することにチャレンジしてみます。
 幸い今日のモデルさんは大柄で目鼻立ちの整った人。細かな表情にこだわらなくてもいい雰囲気が出せそうです。
 いつものように、まず鉛筆でデッサンしますが、いつもと違うのは、
・顔を描き過ぎないこと。極端に言えば眼、鼻、口の位置がわかる程度で。
・「線の表現」をせず、4HからHBまでの薄目の鉛筆の影の濃淡で全体を表現すること。
 そんな感じで一通り描き、全体を眺めると、さすがにぼんやりしすぎてちょっと絵としては不満が残ります。そこで髪の毛の濃い部分、首や脇の一番濃い影の部分、手足の明るい部分の背景となるところだけアクセントとして4Bを使います。これで下描き(上図)は完成です。
 色塗りのポイントは次回に。

2016年12月4日日曜日

人物画を優しく描こう その2


 前回に引き続き「優しく」描いたつもりの人物画。今回のポイントは広い帽子のつばの陰になった顔の表情とリネンのやわらかい服につつまれた女性の体の線。
 帽子のつばの自然な影を表現するために顔の上部全体にうすくブルーをいれています。ただし表情も沈んでしまわないように瞳の白い部分黒い部分はいつもよりもちょっと明暗を強調しています。
 やわらかい衣装の表現は結構苦労しました。しわにとらわれすぎず、下の脚や腰のラインのふくらみをきちんと描きこむこと、リネンの均一な材質感を表現するように鉛筆の線を何本も重ねています。
 バックは前回と同じコンセプトで。濃すぎず、黄色っぽい衣装を浮かび上がらせるためにブルー系の配色としました。


2016年11月5日土曜日

人物画を優しく描こう


今日のポイントは「優しく」描く人物画。
 というのは昨年開いた個展以来、皆さんから聞いた感想をまとめると、僕の人物画はどうも「怖い…」らしい。 実は最近のブログのアクセス数も人物画の時は少なめ。そこで今日から人物画を「優しく描く」ことに挑戦してみたいと思います。
 優しい人物画の代表は何と言ってもルノワールでしょう。中学生の頃「イレーヌ・カーン・ダンヴェルス」の少女像に憧れを抱いたものです。逆の代表はレンブラントでしょうか。光と陰を大胆に操る手法は「怖さ」の裏返しでもあります。
  両者の違いを大胆にも比較し、類推して、整理すると「優しい」人物画の特徴は以下のようになります。
・穏やかな表情のモデル。
・肌は白く、明暗は控えめに。
・バックは濃すぎない。
・筆のタッチは繊細にかつ、やや ぼかし気味に。
・全体の色調は明るめに。
そこで今日の絵「麦わら帽子を手にする婦人」です。
まず目もと。まつ毛の明暗と瞳の濃さのバランスに気を使って丹念に描き込みます。唇の両端を下げるときつい表情になるので、やや上げ気味に。
肌色は黄色を控えやや赤色の配分を多くし、全体として肌を白く見せています。暗い部分に鉛筆をのせすぎないように、ブルーを混ぜた肌色を薄くかぶせるようにします。
バックは濃いめの青を水をたっぷり含ませて薄く塗ります。いつもは肌色を引き立てる褐色系の色をバックに入れるのですが、今回は敢えて使っていません。
ピンクとブルーの服の光沢や皺を細い鉛筆と透明水彩を何度も重ねることにより丁寧に表現します。輪郭を強調しすぎないように鉛筆の強弱に注意を払います。
画面の一番濃い部分は髪の毛。その部分でさらに明暗をつけて髪の流れを表現します。髪の毛と明度差を際立たせて、全体は淡い色調に抑えます。
いかがです?。優しい人物画となったでしょうか?
えっ、まだダメ?
そういう方、是非ご意見をお寄せください。待ってます。

2016年9月4日日曜日

肌色再考






















 人物画で大切なのは「表情」。これは以前に述べたとおり。でもそのためにはきれいな肌色を表現しなくてはなりません。今日はその「肌色」の表現を考えます。
 今回のモデルさんは色白の美人。まさに今日のテーマにふさわしい。本来は立ちポーズなので全身を描くべきだったのですが、上半身のみ、敢えて顔にこだわってみました。
 人物画の肌色をどうやって描くか・・・実はこれは世界中の有名な画家が悩んだテーマでもあります。藤田嗣治は自分で探した鉱物を絵の具に混ぜた下塗りの上に特殊な油で溶いたうすい白を重ね、あの有名な「乳白色の肌」を創り出したとか。
油絵ではそんなテクニックが可能ですが、残念ながら透明水彩ではそうはいきません。基本的にはやり直しが利かない真剣勝負。以下に僕なりの工夫を公開しましょう。
 市販の絵の具に何故か「肌色」はありません。(あればこんな功労はいらないのですが)だから自分なりに色を混ぜて作るしかありません。実は昔はイエローオーカー(黄土色)と白を混ぜて作っていました。でもこの方法は男性なら良いのですが黄ばみすぎていてどうしても女性の肌向きではありません。そこで最近は赤(パーマネントローズ)と黄(ウインザーイエロー)を混ぜた肌色を明部に暗い赤(パーマネントアリザリンクリムソン )と黄(カドミウムイエローディープ)を混ぜた肌色を暗部に使用しています。
 いつもは鉛筆による明暗の上にこの2色の肌色を重ねるだけなのですが、今回はより肌色にこだわってより細かなテクニックを使っています。
 今回はモデルさんはとても色白。そこでまずいつもより赤色の配分を若干多めにします。 そして拡大図を見てください。実は全体の顔の色を塗る前に目じり、鼻筋にあらかじめうすくブルーを入れてあります。こうしていつもより赤みを増した明るい部分にやや暗いブルーを並べてやると肌の白さが際立つのです。
 次は頬、おでこ、鼻の先端など肌色基本2色より赤みのある部分に水でよく溶いた赤をうすく重ねます。真っ赤になりすぎると厚化粧のようになってしまうので、気をつけましょう。
最後にやはり赤くなりすぎないように気をつけて唇にうすく紅を塗りましょう。一般的に上唇は影で濃く、下唇は反射で明るくなります。
 というわけでかなりに肌色にこだわって仕上げてみました。いかがでしょうか。

2016年7月2日土曜日

母と子



今までこのブログで紹介したように、僕の風景画は建物の持つ迫力をダイナミックに表現するため、下書きにペンを使用しています。そして水彩を重ねることによって明暗と素材感を出すという手法をとっています。 
 一方人物画は人の持つ柔らかな線と陰影をより繊細に表現したいと思い、ペンではなく大部分を鉛筆に頼っています。
 でもペンで一気に形を取り、さっと色を塗るのも捨てたものではありません。特にやんちゃな子供をモデルにする時などは、最適な手法です。この子供が我慢してくれたのは15分だけでした。

2016年2月7日日曜日

女性の表情を描く その2



 着色完了!。まずは顔のアップを見てみましょう。可愛らしく、女性らしい表情が描けたかなと思っています。(自画自賛!)
 この女性のポイントは第一に目。かなり気を使って描き込みました。中央の黒く濃い瞳と周囲のやや薄い部分そして一点の光。きれいな二重まぶた。ほほの反射光。
 二つ目のポイントは口元。薄めの上唇は濃い目の影でその形を強調、下唇は逆に明るめに、ピンク色を強調しました。
 あまり本人に似せるつもりは無く、魅力的に描くことだけを考えて描いたのですが、実は描き終えたとき、同じ教室の人から「そっくりですね」と言われました。写実を求めるより、特徴を強調するほうが結果的にいい意味で「似る」のかもしれません。
 前回の終了時点から一気に完成時点のポイントを解説しました。一応途中段階も掲載しておきましょう。
 例によって一通り薄く色を塗った段階です。大切なのはここで完成予想イメージをほぼ固めておくことです。
 油絵と違い水彩画は下の色を消すことが出来ません。セーターの柔らかい質感、肌の滑らかな輝きなどは、下の色を生かしつつ、上に鮮やかな色を重ねることでその効果を発揮します。
 でも逆に重ねすぎると、画面から明るさが消えてしまいます。どこまで重ねるのが良いか、これは練習して要領をつかむしかないようです。皆さんもチャレンジしてみて下さい。




2016年1月31日日曜日

女性の表情を描くその1

 
今日のテーマは「女性の表情を描く」です。前回の「自宅に絵を飾ろう人物画編」では道具など基礎的なお話をしましたが、今回はもう少し詳しく僕の制作過程を教えましょう。
 さて人物画を描くとき、一番大切なことは何だと思いますか?僕はその人の「表情」だと思っています。表情が気に入って描きはじめられると、最後まで楽しく描き終えられるような気がしています。
 当然モデルさんは自分の好みの顔立ちがいいのですが・・・僕の場合は顔の形は卵型、目は切れ長であごはほっそり、唇は厚すぎず、薄すぎず・・・。
 しかし残念ながらこの日、カルチャーセンターに来たモデルさんは丸顔、あごは角ばって広く、目はパッチリと大きな瞳で唇は薄い・・・。一瞬描く気力が萎えたのですが、そんなことは言っていられません。
 そんな時どうするか。それはモデルさんの素敵な部分を強調し、顔を似せることに注意を払わないことです。このモデルさんの場合大きな目とちょっと笑みを浮かべる唇のラインが魅力的です。それを頭に入れ下書きを鉛筆ではじめます。
 上のスケッチは大体の明暗と形が出来たところ。ここまで4時間弱くらいです。
 いつもならここからすぐ着色にかかるのですが、今回は「表情」を強調したかったので、色調を考えるために、いったん全体にベージュ色を重ねて様子を見ました。
 するとちょっと全体にぼけた感じになっていて人物の存在感が希薄な気がしました。そこで再度鉛筆を重ね暗部を描きこむことによって、肌の白さを強調したのが下の図です。
 ここまで鉛筆でのテクニックいかがですか?着色のテクニックはまた来週。次回も是非読んでください。


2015年10月25日日曜日

タイを想う




華やかなタイの民族衣装をまとう美女。

殺風景なアトリエには似合いません。
想像力はふくらみます。
靄の中に浮かぶ森と寺院。広がる田園風景。背景はモノトーンーに、人物は鮮やかに。

タイに行ってみたくなりました

白い婦人

白い肌、白いブラウス・・・。

この女性をを見つめるほど、色が無くなっていきます。

帽子の赤いリボンを残して。 


2015年9月6日日曜日

Yの肖像

この日のモデルさんは男性。昔から「自画像以外の男は描かない」と決めていたのですが、絵画教室の先生が選んだモデルに文句は言えません。
 しぶしぶ描き始めたのですが、新しい発見がいろいろあって、案外熱中して仕上げられました。
 たとえば、ほほの周りのごつごつ感、幅広の唇、とがった鼻筋など、女性とは顔のつくりが根本的に違うようです。
 この歳になって初めて知るとは、やはり絵の世界は奥が深い!