アーチ型の窓の向こうに見えるのはあのアルハンブラ宮殿。フラメンコの衣装を着た踊り子が静かに佇んでいます。完成後のタイトルは「アルハンブラの踊り子」。今回はその創作プロセスをお見せします。
このモデルさんはフラメンコが踊れるそうで、ポーズも表情も、とても自然です。いつにもまして創作意欲を刺激され、まず鉛筆で一気にここまで描きあげました。
いつもは悩む、人物の背景も今回はスペインの風景で決まり。それも有名なアルハンブラ宮殿にしたいと思うのは当然でしょう。
ただ、「静かに佇む」このポーズはどう見ても室内のシーン。いきなり宮殿の庭に座っているのもちょっと変です。
絵として自然に見せるにはちょっと工夫が要ります。描きたかったアルハンブラの風景をアーチ型の窓で切り取るのです。これで室内のポーズと屋外のイメージが重なる不自然さが解消されます。あとはインテリアもアルハンブラ調に統一して・・・下書きは完成です。
背景は方針さえ決まればすぐに出来るかのように書きましたが、実は自分のイメージに合う写真や資料はインターネットやフリー素材の写真集からはなかなか見つかりません。
今回は昨年スペインに旅行した時の僕の個人写真やスケッチを利用しています。もちろんこの絵に利用するのことを予測していたわけではありませんが、それとなく写真の角度やディテールをそれなりに選択していたことを感じました。
皆さんも旅行に行ったとき、「はいチーズ」の記念写真に加え、「背景素材」を意識した写真をためておくよう心がけることをお勧めします。