2017年8月9日水曜日

武家の蔵



城下町の特徴であるマス形(敵の襲来に備え、城までの見通しを悪くするため、道をわざと曲げた交差点)を超えると見えてくるのが「青柳家」。
角館の武家屋敷群の中でも格式が高い家で広大な敷地内に今なお多くの建物が存在し、一部は博物館として公開されています。
母屋はやはり道からは見えず、唯一、蔵だけがその姿を現しています。元々は「文庫蔵」とよばれる重要書類を納める倉庫だったようです。蔵は家の品格を現すシンボルなのでしょう。北国の大雪を載せ、軒を支える頬杖はリズミカルで意匠的。すっきりとした持ち送りのディテール、扉周りのシンプルな装飾など全てのデザインがこの家の品格を伝えてくれます。

2017年8月2日水曜日

武家の庭


  メインストリートをさらに北に行くと岩橋家があります。こちらも道路から見えるのは門と塀だけ。資料によれば知行百石の中級武士の典型的な屋敷だそうです。
  門を通り左手にある前庭の隅に立ち母屋全体を眺めたこの絵。前庭とは言え結構な広さがあります。そして実は画面の右端にある木戸をくぐるとさらに広い本格的な奥庭が広がっています。蔀戸(しとみど)を解放して庭の眺めを積極的に取り込んだ住空間は快適に違いなく、これで「中級」?と羨んでしまうのは狭いバルコニーしか持たぬ都会のマンション住人のひがみでしょうか?

2017年7月24日月曜日

静寂 角館


小野田家はありがたいことに無料で解放されています。門をくぐると玄関があり来客者用の主入口の左に住居用の小ぶりな入口があります。座敷に上がると気持ちのよさそうな庭がひろがります。当然のように縁側に座りちょっと休憩。

視界いっぱいに広がる鮮やかな緑。7月とはいえ、まだ初旬。天気が曇りがちなこともあって、このみちのくでは蒸し暑さなど無縁。わずらわしい気配がすべて消え、五感が自然に融けこむかのような感触・・・たぶん、これこそまさに本当の「静寂」。

2017年7月15日土曜日

大樹の門 角館(かくのだて)


 このブログで何度も取り上げている「重要伝統的建造物群保存地区」の選定制度が施行されたのは昭和51年から。今から40年ほど前、僕が名古屋大学の建築学科に入学した翌年にあたります。
  実は僕が古い建物をスケッチし始めたのはこの制度と「町並み保存」という運動を知ったのがきっかけでした。特に妻籠、白川郷、三寧坂、祇園、萩、角館はこの制度による第一回の選定地区であり、建築を学び始めた大学生の僕に「人」と「町並み」という大切なキーワードを意識させてくれた町でもあります。
  その後どの町も直に目に触れ、スケッチをしたこともあったのですが一度も訪ねたことがなかった町が、今回の「角館」だったのです。
 さて建築を専攻した者としては期待を胸に出かけたものの、実はスケッチをする者としては一抹の不安を感じていました。武家屋敷って敷地の奥のほうにあって、道路からは門と塀しか見えないのでは?そうだったら絵になるかな?・・・というもの。
 ではさっそく武家町に足を踏み入れてみましょう。最初に出会うのが今日のモチーフ、小野田家の「門」。想像した通り見えるのは門と塀だけ。
 でも御覧の通り心配は無用でした。夏の深緑と木漏れ日。武家の歴史を語るモミや赤松の大木、格式ある門・・・画題として不足なし!。スケッチブック6号の画面が狭すぎるくらい、思い切りペンを走らせてみました。
題して「大樹の門」。40年目に味わう感動でした。