この城は抜群の人気を誇るのですが、意外なことに世界遺産ではありません。なぜでしょう?実はこの城は19世紀の新築。外壁は中世の石造ではなく近代的な鉄とコンクリートとモルタルでできています。シンデレラ城を思わせる尖塔も銃眼もいにしえの戦(いくさ)の思い出に過ぎず、バイエルン王国が滅びようかという当時の戦争には何の役にも立たない代物だったのです。入口や窓のアーチも単なる飾り。つまり機能的にも構造的にも美的にもうそがあるから文化的な価値はなし・・・ということのようです。
でも、ご覧のようにマリエン橋から見る城と彼が暮らした森と湖に囲まれたこの土地はとても美しい。ルートヴィヒ二世が統治者としてこの城で過ごしたのはわずか1年足らず、王としての存在感は残念ながら希薄でした。でもこの城が現在に至るまで観光客として多くの人々を惹きつけ、その観光収入が現在のバイエルン州の財政に多大な貢献をしていること・・・彼の美に対する感性が偉大であったことの証明です。