2017年10月25日水曜日

夏を描く その4


「夏を描く」最後のモデルさんです。衣装はご覧のように、野球帽、半袖のブラウス、ショートパンツという活動的な出で立ち。まずは鉛筆でデッサン。今回はどう見ても背景は屋外の明るいシーンがふさわしい・・・なのでバックはあまり線を重ねず白いまま残しておきます。
このポーズにふさわしい背景は「夏の海」、それも「南国」でしょう。幸い、数年前にハワイに旅したときに撮影した写真があったので、水平線の高さをあわせて合成、人物と背景の色調を整えながら色を塗ります。青い空と白い雲。椰子の木と砂浜に打ち寄せる白波。夏にふさわしいパーツが揃いました。これで完成!と言いたいところですが、何か足りません。何となく存在感が希薄ですね。
その理由はたぶん明度差と彩度不足にあります。つまりアトリエで描く人物に色調を合わせてしまったので真夏らしいの強烈な色彩や光と影が感じられないのです。
そこで空の色、森の色、海の色をもっと鮮やかに、明るいところはそのまま残し、影の部分をもっと濃くなるように筆を重ねます。
さて、どうですか?・・・「夏の女性」完成です。







2017年10月19日木曜日

夏を描く その3

今回のモデルさんはノースリーブに麦藁帽子。衣装もポーズも夏らしくて申し分ありません。
例によってまずは鉛筆でデッサンします。肩や腕の曲線と色白の肌が印象的だったのでなるべく柔らかい線で、肌の部分には濃い線を重ねすぎないようにします。ここまでで約2時間。

続いて着彩です。肌色はいつもよりも薄めに、画用紙の白さを生かすように仕上げます。バックは白っぽい肌の曲線を強調するために、シンプルにグレーでまとめてみました。
実は今回はこの段階で友人に貴重なアドバイスをもらいました。
一つは腕や肩のラインを強調し過ぎたせいか、左腕が女性らしくないというもの。なるほど肩から腕にかけての筋肉が不自然…。
もう一つはバックが暗すぎると言う意見。なるほど、僕が目指す「優しい絵」に相応しくない…。持つべきものは友達です。
さてそこでまたまたバックを修正することに。ただしシンプルな表現とすること、人物を引き立てる配色とするという方針は守ることにします。前回は「避暑地の高原」というテーマでバックをまとめましたが、今回はもっと抽象的に、でも明るい夏のイメージだけは出したいと考えました。そこで画面の左上部分の鉛筆を練りゴムでごしごしと落とします。明るくなりました。そこに水をたっぷり含ませたブルーをぼかして塗ります。そのほかの部分はレモンイエローとビリジアンを濃い目に鉛筆の明暗と調和させながら置いていくようにします。細かな背景は描きません。見る人に夏の空と緑を連想してもらうことにしましょう。そうそう、指摘された腕も女性らしく見えるように修正して。
夏の女性・・・完成です。