2010年2月28日日曜日

伊勢 的矢湾

同窓会の翌朝は雲ひとつ無い快晴。
いわゆるリアス式海岸の絶景を見ようと、早速、朝の「的矢湾」を散策しました。

蒼い海面は、入り江と小島で幾重にも切り取られて、
その度に海の色は明るく、そら色に近づいてゆくようです。
そして湾をつつむ岬の向こうで、ついに空と一緒になります。
これだけでも十分に、自然の造形に感動してしまいますが、この光景にはもうひとつ秘密があります。
水平線を良く見てください。岬の先端にぽつんとかすかなシルエットが浮かびます。
これが「安乗埼灯台」。
一点の「人の気配」がこの光景をさらに魅力的にしてくれました。

2010年2月21日日曜日

天の岩戸

最近ちょっと硬い話題が続いたので、今日は少しやわらかく・・・・。

さて久しぶりに大学の同窓会があり、伊勢志摩にやってきました。
集合時間までにまだ間があったので途中下車し、天の岩戸を見学。
もっとも正確に言うとこの絵にあるのは岩戸の近くにある「風穴」。
本家「岩戸」は少し飾られすぎで、残念ながらあまり絵にはなりません。

天の岩戸からさらに森の奥深く、細い山道を歩いて行くとこの「風穴」に出ます。
かすかに差し込む2月の陽光、冷たい風の音。
薄緑に染まった岩肌が真っ暗な穴の奥まで続いています。
この向こうに不思議な世界がありそうな・・・そんな想像をさせてくれる洞窟です。

2010年2月14日日曜日

甲南漬資料館

僕のいつもの散歩コースである石屋川を南に下り阪神電車を越えたところで西へ約10分ほど歩くとこの「甲南漬資料館」があります。
アーチ状の搭や窓と庇の構成がとても個性的、現代的なデザインですが、竣工したのは昭和6年・・・十分に古い建物なのです。
ただこの頃建築界にちょっとした変化が訪れます。ルネサンス風やら、バロック風などあまりにも形式的なデザインに反発して、斬新なデザインを試みる風潮があったようです。
設計者は清水栄二。実は以前に登場した「御影公会堂」と同じ設計者です。
外観はモダンですが内部は大正ロマンが漂う本格的な洋風のインテリアと純日本的な和室大広間が共存する奇妙な、それでいて調和の取れた空間が広がります。
異種文化をまとめあげた努力に感服すると同時に、この頃の設計者の頭はいったいどうなっていたのだろうと半分、あきれてしまいます。

現在、名前の通り、甲南漬けの販売はもちろんですが、クラシカルなインテリアを生かした灘の酒バーもあり、ちょっとした観光のスポットにもなっているようです。
一度訪れることをお勧めします。新しい発見があるかもしれません。

2010年2月7日日曜日

芝川ビル

寒い日が続き、なかなかスケッチに出られません。
この日は一月最後の休日。今の季節にしては陽射しが強く、風さえ我慢すれば何とか描けそう・・・と大阪まで出かけました。

この芝川ビルは御堂筋の一本東側、淀屋橋近くにあります。昭和初期の建物で、かなり痛みが激しいのですが、未だに事務所と商業施設として現役で使われています。
外観は何様式というのかさっぱりわかりません。スパニッシュ瓦あり、インカ風の飾りありと、とにかく風変わりで、ディテールは濃密です。

一体誰が設計したのだろうと調べてみると、「渋谷五郎」と「本間乙彦」とあります。
後者は不勉強でよく知りません。が、前者は僕が最も感銘を受けた本の一冊である大著「日本建築」の作者です。・・・これが彼の作品とは・・・意外でした。
というのは、その前文に確か「最近の(大正から昭和初期にかけてという意味ですが)建築界の風潮はけしからん。洋風のデザインを追い、日本人の精神を忘れている!」などという勇ましい(?)嘆きがあったと記憶してたからです。
その本人ががまさかこんな、思いっきり「洋風の」ビルを作っているとは・・・・・。
またひとつ面白い建築異聞を発見してしまいました。