さて聖母女学院をスケッチした同じ日、実は有名な「伏見稲荷」を訪れています。
関西に住んで30年ほど経つのにまだ、全国3万社、稲荷神社の総本山たる「伏見稲荷」に行ったことがなかったからです。
建築的には本殿が重要文化財に指定されていますが、個人的には朱塗りの派手なだけの建物でスケッチする気が起きません。
それに比べて圧倒的な存在感を示してくれるのがこの「千本鳥居」。
上へ、上へ・・・神の領域に近づく赤いトンネルが延々と続きます。
単調な歩みを刻んでいると、一瞬黄泉の国へこのまま続くのかという不安がよぎります。
所々に鳥居の道の裂け目があります。
現世への出口を見つけた気がして、思わず鳥居を抜け出してしまいました。
その時のスケッチがこれ。
山の中をただ、延々と赤い鳥居が続くだけ。
本殿のような装飾は一切ありません。
建築ではないから「重要文化財」の指定もなし。
でも、そんなふつうの定義で測れない建造物が間違いなく存在します。