先日、卒業以来、初めて高校同窓会に出席しました。30年ぶりに見る顔、聞く声、伝わる人柄は懐かしさと驚きの連続でした。こんな一瞬(ひととき)が楽しいと感じるのは、僕たちは多分「時を経ること」の面白さを本能的に知っているからだろうと思います。
さて、前回が「ビーナスブリッジ1983」。今回が「ビーナスブリッジ2007」というタイトルでわかるように、今日のテーマは、この24年間の神戸の街の変貌をスケッチすることです。
実は、以前と同じ場所を探したのですが、なかなか見つかりません。やっとの思いで発見すると、そこは、木々が生茂っていて、視界はすっかり閉ざされていました。成長するのは、人間だけでないのですね。
そんなわけで、この絵は1983年に描いた時とほぼ同じ角度で、もっと上から見ています。水平線の高さの違いを感じてください。
でも違うのはもちろんそれだけではありません。震災から復興した街は相変わらずきれいなのですが、この画面では神戸の象徴であるポートタワーよりも目立つ建物が2つ建っています。
左側の細身のビルはホテルオークラ。絵の中央に存在感たっぷりに居座るのは兵庫県警のビルです。ホテルオークラはともかく、県警は暗く、威圧的で神戸の町並みには合いません。正直言うとスケッチから抹消しようと思ったくらいです。せっかく勇んで行ったものの、僕にとっては、すこし残念な結果に終ってしまいました。
つまり「時を経ること」は面白くはあっても、自分にとって愉快なものとは限らないということです。
これはある意味で人生の真実なのですが、あきらめてはいけません。未来の神戸の街はきっと、さらに美しくなっているでしょう。
「ビーナスブリッジ2030」という投稿がそれを証明してくれるはずです。