2008年5月11日日曜日

神戸地方裁判所

ぽかぽかと暖かくなってきた休日の午後、この裁判所を訪れました。当然休廷で、正門は閉ざされ、ひっそりとしています。
こんな日のほうがスケッチするにはちょうどよいのです。

この建物の設計者は河合浩蔵。竣工は明治37年です。実は前々回描いた「神戸海岸ビル」もこの人の設計で、あの「辰野金吾」ほど有名ではありませんが、関西に作品が多く、僕は結構気に入っています。
裁判所らしく、全体として重々しい雰囲気ですが、細かな装飾はそれほど無く、シンプルなディテールです。
西洋建築の単なる物真似にしたくないという作者の意思が感じられます。

そういう訳で、このスケッチを完成させたのですが、どうもしっくりきません。なにかバランスが悪いと言うのか、足りないような気がします。数年前の改修工事で建物の最上部はミラーガラスのオフィスビルとなり、今度の設計者の意図を尊重して、この絵では上部は空のような表現にしましたが、それがやはり不自然のようです。
そう思って昔の写真を調べました。すると入口と両翼の端には格好の良い大屋根がかかっており、中間部にもいくつもの破風がリズミカルについています。どうやら改修時にそれらの邪魔者は撤去されてしまったようです。
「すべて壊すよりはまし」という判断なのでしょう。でも僕のような第三者が見てもおかしいのですから、河合浩蔵さんはきっと憤慨しているにちがいありません。
えっ、「お前ならどうするって?」・・・そんな意地悪な質問をしないように!

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