狭い路地から仰ぎ見るドゥオモの「鐘楼」はいわば、道に迷った旅人の「救い」のシンボル。
そしてブルネレスキが設計したという有名な「クーポラ」はまさにルネサンスが開花した「花の都フィレンツェ」のシンボルそのもの。
でその全体像を描くには、巨大すぎて、スケッチブックにおさまりません。この町の街路は狭すぎるようです。
そこで美しい「クーポラ」を描くために、ヴェッキオ橋を渡ってピッティ宮へ、さらに裏庭というにはあまりに広大なボーボリ公園へ。
見晴らしのよいところを求めて、歩くこと1時間、あの丘に上れば・・・という僕の予感は見事に的中。
ご覧のように、左からドゥオモの鐘楼、クーポラの全景はもちろん、ヴェッキオ宮とサンタ・クローチェ教会の塔も見えます。いわばフィレンツェの役者が勢ぞろいといったところ。
舞台の背景は広大な青い空。
ゆっくりと流れる白い雲は時を忘れさせる不思議な小道具でしょうか。
何百年も変わらぬ光景。
夢中でペンを走らせていた僕と同じ場所で
同じ光景を描いていたルネサンスの芸術家がきっといたに違いありません。