2016年4月3日日曜日

海外スケッチ旅行に出かけよう その2 アルハンブラ宮殿



 着彩の第一段階は明暗の確認です。プルシャンブルーで濃淡をつけ画面の構成を考えます。
今回のポイントは二つあります。一つ目は線の太さ。お気づきの方もいるかもしれませんが、僕の愛用のペンが現地で使えなくなったこともあり、いつもより線がちょっとばかり太いのです。だからあまり繊細な筆使いをしてもペンの強さに負けてしまい、役に立ちません。しかも周辺は森と木立ばかり。細かい木々の陰を延々と描いても退屈な絵になってしまいます。
 そこで画面の中央、お城の足元周りをわざと一番濃く、周辺に行くにしたがって薄めの濃淡にしてみました。線の強さとバランスの取れるくらいの濃さで、細かな線にこだわらず、大きく画面の明暗をつけるようにしました。いかがですか。ちょっと存在感が増したような気がしませんか。
 もうひとつのポイントは背景の雪山をどう描くかということ。実は現地でスケッチしたとき一番感動したのは宮殿そのものではなく背後に広がる山脈の真っ白な雪でした。
 アルハンブラ宮殿といえば地中海に面した南国の都・・・そんな僕のイメージを覆すこの山脈。調べてみるとグラナダの南に標高3478mというシエラネバタ山脈が広がっていました。
 この美しい白い山脈を表現するためにちょっとした工夫をしました。山脈部分を良く見てください。薄いグリーンになっていますね。これは緑色の絵の具ではなく「マスキングインク」というゴムの溶液のようなものです。これを塗った部分は水をはじくので一切の色がのりません。つまり絵が完成したときこのインクを取り除くと本当の「真っ白」な雪が現れる(はず?)なのです。
 その効果やいかに。次回以降をお楽しみに。