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2016年7月10日日曜日

海外スケッチ旅行に出かけよう その8 グラナダ大聖堂


 せっかく海外へスケッチ旅行に行ったのですから、午前1枚、午後2枚、最低1日に3枚はスケッチしたいものです。
 それなのに今回、マドリードでは一枚も描けず、移動に時間を取られたため、昨日も1枚しかかけませんでした。今日はアルハンブラで3枚描いたとは言え、まだ目標には及びません。
 何とか今日中にあと一枚をと思い、有名なグラナダ大聖堂を訪れました。この聖堂はレコンキスタの後で建てられたので、当然デザインにアルハンブラのようなイスラム調はありません。ゴシックからルネサンス様式のボキャブラリーを使っています。
 通常大聖堂の前にはその壮大な姿を誇示する大広場がセットになるはずなのですが、ここグラナダでは大聖堂の周囲は狭隘な路地で囲まれていて、眼に映るのは壁面のディテールのみ。全体像はまったく見えません。
 宗教空間で切り取られる空ばかりを見つめて歩く体験は、旅行者としてはそれなりに満足するものでしょうが、残念ながら「風景画」にはなりにくい・・・。今日はもう描けないかなとあきらめかけたころ、やっと現れた広い空。大聖堂の一部が顔を見せています。
 スペインの強烈な太陽。椰子の木。ゴシック建築特有の鋭い光と影。グラナダはイスラム文化とキリスト文化が共存する町・・・パンフレットにある言葉の意味を改めて感じさせられました。

2016年5月22日日曜日

海外スケッチ旅行に出かけよう その7 アルハンブラ宮殿 もうひとつの顔


 お待たせしました。アルハンブラ宮殿の裏側・・・もうひとつの魅力的な顔の完成です。表のアルハンブラに劣らず苦労しました。何故かというと、この絵の特徴はリズミカルな屋根と重厚な外壁、そしてそれを背景にした軽快な木立の枝ぶりです。でも実は水彩画が一番苦手なのが暗いバックに明るい細線を描くこと。つまり画面の左下にあるような城壁を背景にした細い木の枝を描くのはとても難しいのです。
 ではどうしたら良いのでしょう。表側のアルハンブラの描き方を読んだ人はもうお分かりですね。そう、またマスキングインクを使用します。ただし前回は雪の表情を面として捕らえたのでインクを筆で塗りましたが、今回は細い線の表現なので針の先端で塗ってゆきます。
 今回は省略しますが、まずブルーで明暗表現を確認し、材質に合わせた色を薄く置いてゆくプロセスはいつもと同じ。ポイントは城壁の色でしょう。今回は「インディアンイエロー」をベースに赤や緑を混色しています。全体を描き終え、最後にインクを取り去ると真っ白な枝が残ります。シエラネバダ山脈の雪を描いたときはこの真っ白が決め手だったのですが、今回はあくまでシャープな線が欲しいだけ。このままだとちょっと白すぎて画面から浮いてしまうので細筆で丁寧に枝に濃淡を施してやります。
 これで完成。いかがです?美しい建物は表も裏も美しい!

海外スケッチ旅行に出かけよう その6 アルハンブラ宮殿


 アルカサバ、城砦を見た後はいわゆる観光コースに従い、「フェネラルフェ」と呼ばれる14世紀に建てられた王室の別荘ヘ。そこに行くには一旦城外へ出てアルハンブラ宮殿の裏側、谷を挟んだ反対側の太陽の丘へぐるっと迂回することになります。たどりついたフェネラルフェのインテリアデザインはちょっと期待はずれ。でもあの「ナスル宮を見た後」ではどんなデザインも見劣りしてしまうのはやむを得ませんね。
  さて、視線を外に目をやると・・・アルハンブラ宮と丘の下に広がる美しいグラナダの町並みを同時に見渡すことができるます。アルバイシンから見た風景がアルハンブラの正面だとすれば、こちらは裏側。でもいい建物は裏もやっぱり美しい。
 というわけで勇んでスケッチをしたのが今日の絵です。前回アルハンブラ正面からの図がちょっと太目のサインペンだったので今回は細い万年筆タイプのイラストペンを使いました。木の枝の繊細な線を表現するのはこちらのほうが良かったようです。
 スケッチを終えたとき、道行く観光客の一人がスケッチブックを覗き込み、「Beautiful!」といってくれたので、ここまではまあまあの出来なのでしょう。
 お楽しみの色塗りのプロセスはまた次回ご紹介する予定ですが、世の中知らない間にゴールデンウィークに突入。というわけで今度は国内ですがまたスケッチ旅行に行きます。またまたちょっとブログを休むかもしれません。ご容赦を。 

2016年4月24日日曜日

海外スケッチ旅行に出かけよう その5 アルハンブラ宮殿


ナスル宮の装飾美を堪能した後はアルカサバと呼ばれる城砦部分へ行きましょう。当然お世辞にも「デザイン」などというものはなく、防御の機能を徹底して追及した建築です。
 それでも古い部分はローマ時代に築かれただけあって、十二分に歴史の重みを感じさせてくれます。赤や白、褐色の石壁、土壁が何層にも重なり、それが風化してなかなかいい肌合いをしています。建物の頂部を飾る銃眼は背景ののどかな山並みに溶け込むと、絶妙ないい感じのデザインとなります。
 装飾など無くても、建築として十分絵になるのです。あなたも是非アルハンブラへ。
 
 

2016年4月17日日曜日

海外スケッチ旅行に出かけよう その4 アルハンブラ宮殿


グラナダ二日目。前回は外観を描いたので今回は当然その内部。まず入場時間指定のある有名なナスル宮を訪れました。
 入場するやいなや、イスラム建築の見事な美に圧倒されっぱなし。特にその装飾に対する執念はすさまじい。硬い石をミリ単位で削り上げた小さなパーツを組み合わせユニットにし、さらにその繰り返しがいつの間にか柱や梁とつながっている・・・。
 いままで日本に残った西洋建築をものめずらしく結構一生懸命スケッチしていたのが馬鹿らしく感じられるほどです。
 中は想像以上に混み合っていたので、スケッチは無理かとあきらめかけていたのですが、「ライオンの中庭」に来ると、ちょうどいい位置に休憩用の椅子が。
 さっそくスケッチブックを広げました。今回は6号でなくサムホールを選定。何故かというと、広い画面いっぱいに、この高密度な装飾を短時間で埋め尽くす自信が無かったから。
 「意気地なし!」と言わないように。あなただってその場に行けばきっと僕と同じ気持ちになるはずですから。

2016年4月13日水曜日

海外スケッチ旅行に出かけよう その3 アルハンブラ宮殿



僕のブログを読んでくださっている皆さんへ。今週日曜日にアップできなかったのは色塗りにちょっと苦戦したから。でもとにかく完成です。どうぞじっくりご覧ください。
  絵画の構成要素とは基本的には形(構図)と色。そのうち形、構図については実は今回はそれほど苦労していません。何故なら観光用のガイドブックにあるのとそれほど変わらないからです。でも3月というこの季節。僕はアルハンブラに新たな色の魅力を発見しました。1つは森の色。落葉樹は薄い紫色の枝を伸ばし、新芽の緑と混ざって不思議な雲海のような表情を見せています。そしてもう1つは背景の雪山の色。その輝く白は空よりも明るく、重厚な宮殿の外壁と見事な対比を見せてくれるのです。
  この2つの色彩を表現すべく、混ぜる絵具の色、水の分量とぼかし方、マスキングインクの使い方など僕なりにかなり思案し、試行錯誤しました。結果的に予定時間を大幅にオーバー、日曜日のブログにアップできなかったというわけです。
  もっともそのせいか今までの僕の絵とちょっと違った色調となり、新たな可能性を見出した気がしています。いかがでしょうか?
A図

B図

  さて前回お約束したように、マスキングインクの効用についてはもう少し説明しておきます。A図がマスキングインクがのった状態、B図がマスキングインクを取り去り、雪山に薄く陰を描き足したところです。B図の白い部分は一切何の色も塗っていない紙のままの白。雲の白よりもさらに白いことがわかるでしょうか。
  マスキングインクを使わないと、画面に何度も色を塗っているうちについうすい色をのせてしまい、ここまでの明度差は確保できないのです。雪山の絵にチャレンジしてやろうと思っている方、是非参考にしてください。
  ちなみにこの絵のサイズは風景画としては久しぶりに6号でかなり大きめ。本当はみなさんにすぐにでも原画を見てもらいたいのですが、正式なお披露目は次回の個展開催で。どうかしばらくお待ちください。

2016年4月3日日曜日

海外スケッチ旅行に出かけよう その2 アルハンブラ宮殿



 着彩の第一段階は明暗の確認です。プルシャンブルーで濃淡をつけ画面の構成を考えます。
今回のポイントは二つあります。一つ目は線の太さ。お気づきの方もいるかもしれませんが、僕の愛用のペンが現地で使えなくなったこともあり、いつもより線がちょっとばかり太いのです。だからあまり繊細な筆使いをしてもペンの強さに負けてしまい、役に立ちません。しかも周辺は森と木立ばかり。細かい木々の陰を延々と描いても退屈な絵になってしまいます。
 そこで画面の中央、お城の足元周りをわざと一番濃く、周辺に行くにしたがって薄めの濃淡にしてみました。線の強さとバランスの取れるくらいの濃さで、細かな線にこだわらず、大きく画面の明暗をつけるようにしました。いかがですか。ちょっと存在感が増したような気がしませんか。
 もうひとつのポイントは背景の雪山をどう描くかということ。実は現地でスケッチしたとき一番感動したのは宮殿そのものではなく背後に広がる山脈の真っ白な雪でした。
 アルハンブラ宮殿といえば地中海に面した南国の都・・・そんな僕のイメージを覆すこの山脈。調べてみるとグラナダの南に標高3478mというシエラネバタ山脈が広がっていました。
 この美しい白い山脈を表現するためにちょっとした工夫をしました。山脈部分を良く見てください。薄いグリーンになっていますね。これは緑色の絵の具ではなく「マスキングインク」というゴムの溶液のようなものです。これを塗った部分は水をはじくので一切の色がのりません。つまり絵が完成したときこのインクを取り除くと本当の「真っ白」な雪が現れる(はず?)なのです。
 その効果やいかに。次回以降をお楽しみに。

2016年3月27日日曜日

海外スケッチ旅行に出かけよう

 前回ちょっと予告しましたが、スペインへ7泊9日のスケッチ旅行に行ってきました。そこで今日から海外旅行でのスケッチを作品に仕上げるまでのプロセスを旅の感想を交えて記したいと思います。
 今海外旅行を準備している方、是非スケッチブックをかばんに入れてお出かけください。自撮りの写真では得られない思い出となりますよ。
 さてまずお勧めしたいのはゆったりした自分だけの旅程を作ること。と言いつつ実は今回は大失敗でした。飛行機もホテルも全てインターネットで自分の好きなように予約したのはいいのですが、7泊の間に欲張ってマドリード、グラナダ、セビリア、コルドバ、トレドと5都市を訪れる計画にしてしまいました。それも初日は夜の到着、最終日は早朝出発。
 えっ巷のツアーでは当たり前?そう、でもダメなのです。スケッチ旅行はなるべく宿泊ホテルを変えず、スケッチブックを片手に自由に歩けるようにするのが原則です。そうしないとゆったりと楽しんでスケッチすることができず、いい絵にもなりません。だから各都市最低2泊はしたいものです。
 今回は、特に英語が全くと言っていいほど通じない国スペインで、毎日知らない場所へ列車の時間を気にしつつ移動する必要があり、正直言って相当神経をすり減らしました。到着すると緊張感から開放されぐったり・・・絵を描く気分ではなくなってしまいます。とにかくスケジュール作りは慎重に。
 次は訪れる場所の選定。大事なのはガイドブックをあまり当てにしないこと。有名な石像の隣でVサイン・・・!。記念写真としては最高でしょうが、多分絵にはなりません。
 自分の足でベストなアングルを探し出しましょう。ちなみに今回の旅行中iPhoneで僕の歩いた距離を調べると、最大で1日に30km、最低で15km、1日平均約20km歩いていました。我ながらまだまだ若いなと安心した次第です。
 さて、初日夜到着して2日目はマドリードのスケッチ。ただプラド美術館はじっくり見たかったので午前中をスケッチに充てることに。あわただしく町中を歩き回りましたが描きたいと思うほどの風景は登場せず。「半日しかない」という焦りも手伝って、結局この日の成果はゼロ。
 スケッチに来てこんなことはあまり経験がないのですが、仕方ありません。次から次へと描きたい風景が現れたローマやフィレンツェやプラハに比べるとマドリードは視覚的な魅力はかなり落ちる気がします。
 そして翌日グラナダへ。午前中は列車とバスの移動時間でつぶれ、到着は午後。ホテルに荷物を預け、アルハンブラ宮殿を眺める丘があるというアルバイシンへ向かいます。迷路のような細い路地を抜け、サン・ニコラス展望台へ。
 噂にたがわぬ素晴らしい眺望です。宮殿の雄姿を全部納めようと、迷わず大きなスケッチブック(F6)を取り出しました。が、残念ながら無料の展望台は観光客でぎっしり。とてもスケッチブックを広げ独り占めできるスペースはありません。しかもマドリードで30kmも歩いた疲れがあり、何とか座ってゆっくり描ける場所をと探し回り、見つけたのがここ、レストランのソファー席。
 
 優雅に、ビールを飲みながら美しい風景をスケッチする・・・これぞスケッチ旅行!最高の気分でした。
 ここでいくつかのアドバイスを。ご覧のように画面は白黒の線だけ。本当は現地で色も塗るのが一番いいのですが、海外旅行はどうしても時間が惜しい。そこで僕はペン描きが完成したところでいったん終え、写真を撮っておいて日本に帰ってから塗ることにしています。
 もうひとつ、ペンはお気に入りの物を必ず2本以上準備しておくこと。アクシデントがあると、現地(の観光地)では絵画用のペンは入手できません。実は今回も持って行った1本に不具合があり、途中で新しいペンに交換しました。もし予備のペンを準備していなければ危うくこの日も「成果なし」になるところでした。
 来週はこのスケッチに水彩で色をつけてゆきます。お楽しみに。