2007年4月21日土曜日

横浜赤レンガ倉庫 昔と今

 
「君の絵は風景や人のときはそうでもないけど、建物を描くときの線は硬いね」という貴重な意見をいただきました。


言われて見ると、特にこのスケッチのように、若い頃描いた建物の絵に顕著のようです。(1982年の秋) たぶん仕事で建物の設計を始めたばかりで、絵にもその気負いが出ていたのでしょうか。

 2002年に商業施設として甦ったこの赤レンガ倉庫は、現在は有名な観光スポットとして、若い人でにぎわっています。しかし僕がスケッチしていた頃は、ごらんのように、倉庫の前には建設資材が山と積まれ、雑草が生茂った、まさに「廃墟」でした。
でもその分、人気(ひとけ)が無く、ボーっと一人で過ごすには快適な場所で、隠れ家に来ているようなひそかな興奮があったのです。

 昨年、家族で久しぶりにここを訪れましたが、あの頃の面影はまったくありません。過去の遺物を珍しがる人でごった返していると言ったらよいのでしょうか。僕「一人」が、パンをかじりながらスケッチした、あの頃の「静けさを独占する楽しみ」はもうありません。

 でもそれは、贅沢というものかもしれません。今は「一人」だけでなく、「家族」とここで食事する楽しみが出来たのだから。
僕の「硬い線」もきっと、だんだん、柔らかくなっていくことでしょう・・・。