京都が東京に首都の座を奪われた頃、京の威信を賭けて行った大事業がありました。
それが琵琶湖疏水。
琵琶湖から鴨川まで人工の運河を通すという、当時の技術では困難極まりない工事で、苦労に苦労を重ね、明治23年にやっと完成しました。
その甲斐あって、今も京都市の水道はほとんどこの疎水に頼っているそうです。
南禅寺に入るとそれは「水路閣」と呼ばれ、いつも誰かが絵を描いている人気スポットになりました。
幸いにもこの時の絵描きは僕一人。
ゆっくり気に入ったアングルを探しながら、考えました。
この水道橋が日曜画家達の気を引くのは何故でしょう?
和風の寺院と洋風レンガの組み合わせが面白いから?
いやそれだけではありません。
「神聖な木立」を縫うように「人工のアーチ」が正確に、延々と続いている不思議を感ずるからにちがいありません。
「京の威信」は近代技術に対する技術者の心意気となってここに表現されたと言えそうです。
0 件のコメント:
コメントを投稿