翌朝、午前8時を少し回ったころ。
有名なサン・ピエトロ寺院に到着です。
朝日が寺院の正面を照らしています。少しピンクがかった外壁と白い柱、水色のドームが絶妙のバランスで浮かび上がります。
回廊の日陰の席を確保し、ドームの曲線や柱のリズムを一心不乱に見つめてペンを走らせる高揚感は、謂わばオペラ座の貴賓席にいるようなもの。
いつものサムホール(紙の大きさ、A5サイズくらい)のスケッチブックではとても収まらないと瞬時に判断して6号(A3より少し大きい)のスケッチブックを取り出しました。
この絵を描き終えようとするころ、僕の視界を何人もの人が横切ります。
ちょっといらついて、われに帰ると、すさまじい人数の人が右手の回廊から僕の目の前まで並んでいます。
そう、バチカン美術館に並ぶ人たちでした。
早起きは三文の徳・・・。
もう少し寝坊していたら、この絵は完成していなかったかも。