2015年11月29日日曜日

自宅に絵を飾ろう 人物画編その1・・・下描き

 さていよいよ水彩画を描きましょう。まず僕の好きな人物画編から。人物画でまず最初に悩むのは「モデル」。一番手っ取り早いのは鏡を見て描く自画像でしょう。僕も昔はずいぶん自画像を描きました。さすがにもう自分の顔は飽きたので今は、近くのカルチャーセンターの人物画教室で描いています。ポーズをとりなれたプロのモデルさんにお願いできるし、モデル代は教室のメンバー全員で負担することになるので当然安くつくからです。
 まずは下描き。もちろん以前書いたように「正式な」方法というものは無いので基本的には自由に描いていいのですが、せっかくこのブログを覗いてくれる皆さんには、僕の作画プロセスをお見せしましょう。それなりに面白いはずです。
 下書きにはサインペンまたは鉛筆を使っています。どちらも好きですが、今日は鉛筆で下書きをしてみます。

 使う鉛筆は三菱ユニとハイユニ。とくに高級品ではありません。硬さは4H、3H、2H、H、HB、2B、3B、4Bと8種類の鉛筆を使います。そんなに使うの?という声が聞こえてきそうですね。確かに2Bくらいの鉛筆でラフにあたりをとり、すぐに水彩で着色する方法もありますが、人物画の場合、僕は鉛筆だけでほとんど濃淡を取り、色は淡彩で薄く重ね塗りをするようにしています。肌に落ちる微妙な影は鉛筆の表現になじむと思うからです。
 この写真は描き始めて1時間くらい。大まかなプロポーションと濃淡を決めたところです。この段階で使っている鉛筆は3HからHBくらいまで。なるべくスピーディーに描き、間違っても線は消さないようにしています。悩んだところ、あるいは正しい線が潜んでいるところが何度も重ねるので濃くなります。
 ここまで出来ると、あとは2B、3B、4Bと濃いところを徐々に濃くし、明るいところは練りゴムで面を削るようにしてこすった後、3H、または4Hでもう一度濃淡を調整します。
本当はこの後半のプロセスの写真もあればいいのですが、この日は描くことに夢中になっていて、この後の鉛筆の作画状況を記録するのを忘れてしまいました。すみません。次の機会には色をつけ始める直前のスケッチも是非載せたいと思います。
次回は着彩編です。お楽しみに。
 なお自分で実際に試してみて、「うまくいかない!」と思った方、右蘭のメッセージ蘭をご利用ください。なるべくすぐに返信したいと思います。
 
 

自宅に絵を飾ろう 絵の具編


紙と筆が決まったので最後は絵具。これもあまり安いものはお勧めしません。僕が使っているのはウインザーニュートンの固形絵具の24色セット。微妙な色が出るのと追加で入手できる色の種類が多いので気にいってます。特に色の少ないセットでは緑がビリジアンしかなく、表現がどうしても貧しくなります。自分の気に入った緑色を探して追加みるのも楽しいかもしれません。



これが僕が使っている絵の具 。お世辞にも綺麗とは言えませんが、もう8年も使っていて300枚ほどの作品を生み出してくれています。
 紙も筆も絵具も安物は基本的にはお勧めしないと言いました。でも考えてみて下さい。僕が使っている道具全部揃えても多分1万円しません。世の中の大部分の趣味より圧倒的に安いと思いませんか?ちょっとだけいい材料を買って、さあ始めましょう。
自宅に絵を飾る第一歩です。

2015年11月15日日曜日

自宅に絵を飾ろう 紙と筆編

さて、前回でアートを飾る壁面の準備はできました。
でも問題は飾るアートをどうするかです。有名な作家の作品は目が飛び出るくらい高く、当然普通の人には手が出ません。デパートのアート売り場でもかなり高額。しかもどちらかというと派手な作品が多く、ちょっと自分の趣味と合わないなどということもあるでしょう。それほど高価でなく、いろいろな種類の中から好きなアートを選ぶ、これに比較的適した方法はネットショップを探すことでしょう。ただ、楽天やアマゾンでも今のところポスターや複製画の大量販売の店が多く、これぞという作品を探すのは困難なようです。
そこで、お金がかからなくて自分の趣味に合う絵を飾る一番いい方法を教えます。それは「自分で描く」ことです。こう言うと「絵なんて正式に習ったこともないのに素人の私が描けるわけがない」という言葉が返ってきそうですね。でも心配しないでください。さる有名な先生がおっしゃってました。
 「絵に正式というものは無い」と。実はかくいう僕もその言葉を信じて、今日まで絵を続けてきたのですから。では、それを信じたとして、次に何をすればいいのでしょう?
やはりまず道具をそろえることでしょうね。「世の中に出版されている(正式な)水彩画入門」をみればいろいろな道具が網羅されていますので、とことん極めたい人はいろいろと研究してみたらよいでしょう。でも大体において、出だしで時間をかけすぎると、往々にして長続きしません。やはり素早く揃え、すぐ描き始めることをお勧めします。そこで皆さんが僕の絵が好きだという前提で僕が使っている道具を教えます。参考にしてください。
 まずスケッチブック。大きさは0号、SM(サムホール)、6号の3種類が基本です。画材店に行くと、いろいろなスケッチブックが売っていて、あれもこれも手をつけたくなりますが、なるべく種類を減らしましょう。なぜかというと、飾るとき、額をたくさん買わなくてすむからです。
 画家という職業の人はなるべく大きな絵を描こうとするそうです。大きいほうが売れた時、儲かるからだそうです。でも私たちは自分の部屋に飾るのです。大きな絵は物理的に飾れません。小さな絵を描きましょう。せいぜい6号までです。0号でも額に入れればそれなりにリビングで存在感を放ってくれます。むしろ小さいほうが、短時間で枚数をたくさん描け、そうすれば絵を気分に合わせて交換して楽しむこともできます。
 紙質もいろいろありますが、2種類使い分けています。何度も色を重ねたり、紙を洗ったりする作品は300g/の厚手のものがいいでしょう。僕は英国製ラングトンが丈夫で発色がよく、にじみの具合も絶妙なので愛用しています。一方で色よりも線を自由に素早く走らせるときのために薄手の安いものを使います。これは水彩をのせると紙にしわが寄って、絵になりません。それでも色を付けて作品にしたい時があります。そんな時、僕はパソコンで着彩をします。ブログで時々パステル調の他と違う絵が登場しますが、あれはphotoshopを使用して描いたCGです。


 次に筆。断言します。絶対に「弘法は筆を選ぶ」と。毛先が柔らかく、弾力があって、水をよく含むもの。ナイロン系は安価ですがお勧めしません。筆先がすぐにばらけるようになり、美しいラインはひけません。やはりセーブル筆、コリンスキー筆がすばらしい。ここはちょっとお金をかけてください。(ちなみに「セーブル」、「コリンスキー」とは筆そのものの名前ではなくその毛を提供してくれる動物の名前です)写真は僕の愛用の筆です。左から2号の丸筆、6号の丸筆、10号平筆、(特大)平筆
 僕らは小さな絵を描くのですから必要な筆の種類と大きさは限られます。僕の場合はメインは6号の丸筆。僕はこの4本でこのブログに載せたすべての絵を描いています。
 まず6号の丸筆。「正式な」入門書によればたぶんちょっと小さ目ですが、強弱をつければ細い線の太い線も描けるので、自宅のリビングに飾る絵ならばほとんどこの筆一本で描くことさえ可能です。
 背景を描くときは(特大の)平筆(幅15mm)を使います。幅を均一に使ってむらの無い太い線を引いたり、横にして細く強い線切り替えることもできます。(特大の)と書いたのは実は大きな平筆でセーブルやコリンスキーの筆はなかなか見つからないので僕は実は日本画用の平筆を使っています。なので号数も良くわからないのです。
 10号の平筆。使い方は上と同じ。小さめのスケッチブック用です。
 最後に2号の細筆。僕のブログの絵では木々の細かな枝や葉を描いたり、人物の目や口元を描くときにお世話になります。
ほとんどこの4本で描いてしまいますが、念のためその中間サイズの筆も何本か揃えています。この辺りはお好みで構いません。ただやはり安物の筆はいけません。念のため。



2015年11月8日日曜日

自宅に絵を飾ろう 壁面編

 10月7日〜11日まで、初の個展を終えてから早くも1ヶ月がたってしまいました。5日間で合計118名のお客様にお越しいただき、とりあえず大成功だったと思っています。
作品集「美緑空間」も展示作品も想像以上に好評でかなりの数をご購入いただきました。
この場を借りて改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

  さてこれを機に、このブログの構成を少し変えようと思います。
今までは、僕の作品の個人的な紹介が中心でしたが、これからは絵を描く楽しみをなるべく多くの人と共有できるようなスペースにしたいと思います。
 そこで今日はその第一弾。
「自宅に絵を飾ろう!」です。皆さんの自宅のリビングでも自分の部屋でもいいのですが、普段自分が生活する場所に何かのアートを飾っていますか?えっ、飾っていない?
なぜでしょう。たぶん基本的な理由は2つあります。ひとつは飾る場所がない。もうひとつは飾るアートがないことでしょう。・・・そこで今日は飾る場所について考えたいと思います。
 アートは普段の日常生活を彩ってくれます。ということは、めったに人の来ない応接間や、ちょっと立ち止まるだけの玄関などは本当は飾る場所として相応しくありません。まして納戸に大切にしまったきりなどというのは言語道断です。
 でも玄関や応接間と違い自分の部屋やリビングにはたぶん生活臭のある家具が所狭しと並んでいます。そんな中にアートを飾ってもねえ・・・・。と今までは諦めることになっていたはずです。

そこで提案。壁の一面だけまず色を変えてみましょう。色は思い切って濃いブルーなどはいかがですか。すると不思議なことに、その壁面には家具を置きたくなくなります。
そしたらついでに天井にピクチャーレールを設置してみましょう。
こうなると人情として絵を飾らずには入られません。
時々絵を入れ替えて楽しむこともできます。
僕の自宅の改修例です。参考にしてください。今までとはちょっと違った日常が始まるに違いありません。