2008年1月26日土曜日

初めてのクロッキー

クロッキーとは何のことかご存知ですか?
細かな定義は別として、通常はヌードモデルを素早く、シンプルな線で描くことで、美術系の学校では必須となる基礎練習です。


先日、同じ設計仲間と飲んでいるときに、ふと大学時代、初めてクロッキーをしたときの感動に話がおよびました。そう、大学の建築学科は工学部のくせに、「ヌードクロッキー」がカリキュラムにあるのです。


うぶで純粋な19歳の若者にとって、目の前にあるものは驚きでしかありません。わけもわからず、クロッキー帳に向かって鉛筆を走らせたことを覚えています。

通常は20分ポーズから始まります。














時間は徐々に短くなります。

座るポーズ 。




横になったポーズ。案外難しいのです。























そして最後は1分ポーズで終わります。線を引きなおす時間は無いので、一発勝負です。でもこの緊張感がなかなか心地よいのです。









えっ、うぶな若者の割には線に迷いがないって?・・・・残念ながら、さすがに初めて描いた時のクロッキーは残っていません。これはかなり慣れてきた、大学の3年生くらいの頃でしょうか。
それでも僕にとっては懐かしい青春時代のひとコマです。

2008年1月20日日曜日

彦根城

2007年は築城400年祭ということもあり、子供の頃(いつだったか忘れました)以来、久しぶりに彦根城を訪れました。
「お城」と言うとたいていの地方都市の観光名所であり、世俗的なお国自慢の象徴であるため、芸術的にはいまいちであることが多いようですが、この彦根城はれっきとした国宝(特に「花頭窓」が有名)です。
城下町からいくつもの門を通り抜け、やっと天守閣に到着です。子供の頃はずいぶん大きく感じたのですが、今見ると案外小さく、親しみやすい風貌(?)でした。


僕が「お城」を描こうと思うのは国宝だからではなく、まして観光名所であるからではありません。
そこに何となく、歴史のロマンを感じるからです。
以前に描いた岐阜城には斉藤道三や織田信長が、この彦根城には 徳川四天王の一人「井伊 直政」や幕末の「井伊直弼」の人生が重なります。
社寺建築にはない「人のドラマ」・・・それが「お城」の魅力です。

2008年1月13日日曜日

秋の東福寺


2007年11月下旬、秋の東福寺を訪れました。
本当は有名な紅葉が目当てだったのですが、誰もが同じことを考えるようです。
電車を降りてから、本来なら歩いて10分で正門に着く距離なのに、なんと一時間もかかってしまいました。


境内の通天橋から見る紅葉はさすがに素晴しく、息を呑む美しさだったのですが、それを絵に描くことは地下鉄のラッシュアワーの中で一人座ってスケッチブックを広げるようなものです。さすがにそこまでの度胸は無く、比較的静かな「方丈庭園(南庭)」をスケッチすることにしました。


歴史ある東福寺にふさわしい、静かで、精神性を感じさせるこの庭は、実は「現代」の作品で、資料によれば、昭和のアーチスト重森三玲氏の代表作とのこと。
北庭を見ると幾何学的な模様が強調されて、なるほど現代的です。


いつも現代建築の貧弱さを憂うている僕としては、この「東福寺の未来」にチャレンジする作家の心がとても貴重に思えます。
そして、たぶん、それは自然任せの「紅葉」よりも、お寺にとってはるかに価値ある財産ではないでしょうか?

2008年1月5日土曜日

神戸回教寺院


神戸は戦争で焼かれ、阪神大震災でも壊されたため、京都のように、歴史的な遺産はあまり残っていません。
でもこの街には、常に新しいものを積極的に取り入れる情熱があるようです。
旧居留地や異人館などは当時流行の最先端を行く建物であったに違いありません。神戸回教寺院もそのひとつでしょう。

異人館通りから少し下った(南に行った)ところにこの建物はあります。
日本建築には無い、タマネギ型のドームや棟飾りが特徴的で、独特の風格がある一方、とても華やかです。
絵を描いている間にイスラムの民族衣装を着た女性達が何人も、おしゃべりをしながら建物から出て来ました。
この日は何か回教徒の儀式があったようです。

まるで異国の風景なのに、不思議と違和感を感じません。
神戸の面白さは、遺産としての建物にあるのではなく、今に引き継がれている、こんな一シーンにあるのかもしれません。