2010年8月15日日曜日

あかがね御殿

「人」と「建築」をテーマとするこのブログの性格上、どうしても、いわゆる「重要文化財」の類を取り上げることが多くなります。
ですから今日は、有名な寺院に「飽きてきた」かもしれない人のために、少々奇妙な建物を紹介します。

以前、鶴林寺を訪れた時、駅の観光案内で「わがまち加古川50選」という小冊子をもらいました。
この「あかがね御殿」はその中で偶然発見したものです。
地元では有名らしいのですが、建築の専門書にはまったく記載されていない「アウトロー建築」です。
何しろいくつもある屋根のかけ方や角度、方向がばらばらで統一性が無く、窓もその高さ、大きさ、プロポーションにやはり規則性がありません。
建築家としては、「常識知らず」と言われても仕方がない建物です。
しかも外装はなんと銅板張り。出来た当時は「ぴかぴかに輝いていた」というのも、日本人の美意識からするとちょっといただけません。

それでも、現物を見ると、別府(べふ)港という小さな港に面していることもあり、たいそう存在感があります。
全体のデザインも不思議と格好良く、十二分に絵になります。こんなものを設計する人は一体誰だ?とインターネットのあちこちのサイトを調べましたが「不詳」とのこと。
残念です・・・本当の天才を知ることができたかもしれなかったのに。
(なお、この建物は平成14年に国の登録有形文化財となったそうです。その意味では「アウトロー」は少々言いすぎ?)