ソウルに来るときは空港からバスを利用しました。降車場から数分でホテルまでたどり着けるからです。何しろ言葉もわからない初めての都市。乗り換えを極力避けたいのは人情というものです。
でもまる一日歩き回ると、少し度胸がつき、帰りは鉄道を利用してみることにしました。
ホテルからタクシーでソウル駅へ、そしてとても快適だという噂の超高速鉄道で空港に行こうというわけです。
さてタクシーを降りると、駅の隣にドーム屋根、煉瓦造りと横ストライプという、東京駅によく似たクラシカルな建物があります。実はこれ、「旧ソウル駅舎」。ガイドブックの扱いはぞんざいで観光の対象にはなっていないようですが、僕の創作意欲を刺激するには十分すぎる建物です。(ちなみに設計は辰野金吾ではありません)
帰国までの許された時間を費やし、なんとか完成。
これがソウルでの最後のスケッチとなりました。
賑やかなソウル中心部では韓国の豊かさと国家の権威を感じた僕ですが、このソウル駅の周りには路上生活者がちらほらと見られます。
実はこのスケッチを描き始めたら、そのうちの一人が僕のところに来て「○○○・・・?□□□!」
何を言っているかさっぱりわかりませんが、雰囲気的には
「お前は絵が好きか?これは昔のソウル駅だ!」と言っているよう。
完成するとまた寄ってきて、にこっと笑って「△△△・・・」。
たぶん「お前、なかなかやるな。また来いよ・・・」とでも言っているのでしょうか。
わずか2日の旅でしたが、韓国(の人)がすっかり好きになりました。
お隣に中国という怖い国があることを考えても、この国とは仲良くすべきだと確信しました。