2013年12月29日日曜日

興福寺と猿沢の池

興福寺の五重塔。
間近に見ると50メートルを超えるその構造物に圧倒されます。
でも猿沢の池から見るとイメージはがらりと変わります。
土台部分は木々の緑で隠されて、程よく反り上がる軽やかな屋根だけが宙に浮かんでいるようです。
まさに優美。
だから、観光用の絵葉書もほとんどがこのアングル・・・選ばれるにはそれだけの理由があるようです。

2013年12月22日日曜日

東大寺法華堂(三月堂)


広大な東大寺境内。
歩いていておやっと思ったのがこの建物。小さな建物なのに右と左で屋根の形が違っています。
説明を読むと、これが有名な法華堂(三月堂)。国宝です。

中学生のころ、期末試験前に東大寺法華堂と言えば、「日光月光菩薩」、「不空羂索観世音像」と暗記した覚えがあります。
ですが建物を意識したのはこの日が始めて。
屋根の形が変わっているのは、左側が奈良時代建立で「正堂」、右側が鎌倉時代で「礼堂」と、機能も時代も違うからのようです。

左側の正堂に並ぶはずの前述の像。
残念ながら今は東大寺ミュージアムに移されてこのお堂にはありません。

2013年12月15日日曜日

東大寺 二月堂


久しぶりの日本のスケッチです。
東大寺二月堂・・・有名なお水取りが旧暦二月にあるのでこの名がついたそうです。
観光パンフレットには前庭から見上げる迫力ある写真が多いのですが、西側の路地から見る姿もなかなか魅力的。

ここでふと気がつきました。
フィレンツェの尖塔と路地を描くにはスケッチブックはどう考えても縦使い。
でも横に広がる大屋根と低い路地塀のバランスを表現するには横使いがふさわしい。

イタリアと日本・・・街の構図も違うようです。

2013年11月24日日曜日

サン・ジェレミア教会


フィレンツェからユーロスターに乗りヴェネツィアへ。
車窓に流れるのは延々と続くのどかな田園風景。
旅の達人なら、押し寄せる眠気を気にせず、そのまま白昼夢を楽しむのでしょうが、僕はまだまだ初心者。
駅名を告げるアナウンスにびくびくしつつ、緊張しているとどうやら、目的地に到着です。
この日予約したホテルは、ヴェネツィア本島ではなく、手前の駅メストレ。
チェックインを済ませ、再び列車に乗り、サンタルチア駅に到着したのは午後3時過ぎ。

残り時間を気にしつつ、地図を片手にまずはサン・ジェレミア教会の広場へ。
太陽は西に傾いているとは言え、猛烈な熱波はひるむことを知りません。
たまらず長く伸びた建物の影に避難し、スケッチブックを取り出します。

すっかり癖になってしまいました。
CAFEでビールを飲みながら絵を描くという至福の時・・・。

2013年11月17日日曜日

サンタ・トリニタ橋


アルノ川にかかる一番有名な橋「ポンテ・ヴェッキオ」。
みやげ物の店が張り付いているためか、観光客がひしめいていますが、橋としての気品はお隣の「サンタ・トリニタ橋」のほうが上。
その事実を証明しようと、スケッチブックを取り出しましたが、あいにく日差しを避ける影はなし。
しかも強烈な夕陽が正面から、水平に僕の目を射抜きます。
帽子などまったく役に立たず、あまりのまぶしさにこの日は退散することに。

翌日の早朝。
今度は朝陽のサンタ・トリニタ橋にチャレンジです。
朝の光に白い熱波はありません。
すがすがしい直射日光は空の青を奪って、建物をオレンジ色に染め、水面を金色に照らします。

この美しい光景を目に焼付け、昼一番の列車でベニスへ。

2013年11月4日月曜日

ヴェッキオ宮

真夏のローマとフィレンツェを歩くと感じます。
なんて空が青いんだ!
日本の夏のようにやや白んだ水色の空ではありません。
コバルトブルーの絵の具を空一面にぶちまけたように「青い」のです。

灼熱の太陽は褐色のはずのヴェッキオ宮を白く照らし、青空は深く、濃く、鮮やかに輝きます。
Cafeのテントの隙間から偶然、見上げたこの構図。
フィレンツェの夏を教えてくれました。

2013年10月27日日曜日

花の都 フィレンツェ


狭い路地から仰ぎ見るドゥオモの「鐘楼」はいわば、道に迷った旅人の「救い」のシンボル。
そしてブルネレスキが設計したという有名な「クーポラ」はまさにルネサンスが開花した「花の都フィレンツェ」のシンボルそのもの。

でその全体像を描くには、巨大すぎて、スケッチブックにおさまりません。この町の街路は狭すぎるようです。
そこで美しい「クーポラ」を描くために、ヴェッキオ橋を渡ってピッティ宮へ、さらに裏庭というにはあまりに広大なボーボリ公園へ。
見晴らしのよいところを求めて、歩くこと1時間、あの丘に上れば・・・という僕の予感は見事に的中。
ご覧のように、左からドゥオモの鐘楼、クーポラの全景はもちろん、ヴェッキオ宮とサンタ・クローチェ教会の塔も見えます。いわばフィレンツェの役者が勢ぞろいといったところ。

舞台の背景は広大な青い空。
ゆっくりと流れる白い雲は時を忘れさせる不思議な小道具でしょうか。
何百年も変わらぬ光景。
夢中でペンを走らせていた僕と同じ場所で
同じ光景を描いていたルネサンスの芸術家がきっといたに違いありません。

2013年10月13日日曜日

コロッセオ

今日がローマ滞在最後の日。
夕刻にはフィレンツェ行きの列車に乗らねばなりません。
またまた急ぎ足の旅の始まりです。

最初のスケッチはあまりに有名なコロッセオ。
その存在感。見る人を圧倒するフォルム。
精密に組み上げられた巨大な石の塊。
柱にも壁にもあちこちに削ぎとられたような窪みが残っています。
降り注ぐ雨が石を溶かしたのか、闘う人が破壊したのか、いずれにしても、2000年の時が刻まれた証拠にちがいありません。

気分よく描き終え、フォロ・ロマーノで次のスケッチをしようとしたとき、気がつきました。
ペンケースが無い!
真っ青になり、必死に探すも、無駄な努力でした。
どうする・・・・さんざん悩んだ末、今日は観光のみと決心。
かくしてローマ3日目の成果はこの一枚のみとなってしまいました。
残念。

さて市の中心部に戻って、列車を待つ間、明日使うペンをあちこち探し求めましたが、店頭に並ぶのは事務用、お土産用のおしゃれな水性のペンばかり。欲しいペンはとうとう手に入りませんでした。
日本ではどこにでもある、スケッチ用の油性サインペンがこんなに貴重品だったとは・・・・。

悩んでもしょうがない。明日考えよう。
こんな時でも楽天的に考えられるのが僕のよいところです。
結末はまた来週に。

2013年10月6日日曜日

スペイン広場

この日は本当によく歩きました。

ナヴォーナ広場を抜けてパンテオンへ。内部は人の頭しか見えません。
当然、スケッチブックは閉じたまま。

さらに有名なトレビの泉へ。
観光客がひしめいていて絵を描くどころか、とても泉には近づけません。

そしてこれまた有名なスペイン広場へ。
大階段は何をしているのか、階段に座り込む人があふれて、近づく気になりません。

広場の前の道をまっすぐに抜けるとやっと、やっとポポロ広場に到着です。
事前の計画ではこの広場の「双子教会」を描くつもりでした。残念ながら、たぶん改修工事のせいでしょうか、細部がちょっとお粗末で創作意欲喪失・・・。僕も贅沢になったものです。

そこで今度はボルゲーゼ公園を経由してトリニタ・デイ・モンティ教会へ向かうことにしました。
実はこの教会の下が先程通ったスペイン広場。
教会の一番かっこよく見える場所を求めて大階段を降りることに。
幸いなことに、ちょうどこのとき広場でお祭り(?)が始まり、階段に座っていた人たちは一斉にそちらに移動。
その一瞬の隙をついてスケッチしたのがこの絵です。
描き終えたとき、さすがにもう足と腰は麻痺状態・・・帰ろう!ビールが待っている。



2013年9月29日日曜日

ナヴォーナ広場


さて、ゆっくりしてはいられません。今日はまだまだ予定があるのです。
サンタンジェロ城からテヴェレ川を渡り、20分ほど歩いてナボーナ広場へ到着。

素晴らしい!
左のオベリスクと噴水の彫刻はベルニーニの作品、正面の教会はボロミーニの作品。
そして広場は真昼の強烈な日射にもかかわらず観光客でいっぱい。

人ごみに邪魔されず、日陰で、しかも座って描けるベストなアングルを見つけました。
そこは高級CAFEのテントの下。
仕方が無いので、やむを得ずまたまたドラフトビアを注文(しかも2杯!)。
サンドイッチをつまみつつスケッチをしたのがこれ。

華麗な装飾にひるむことなく、惑わされること無く、ほんの30分ほどで描き終えられたのは、ローマの雰囲気に手が慣れてきたのでしょうか。それとも、いつもよりちょっとペースの速いアルコールのせいだったのでしょうか。



2013年9月22日日曜日

サンタンジェロ城より望む


暑~い!
真夏の炎天下で2枚目のスケッチを終えたとき、僕の喉の渇きはもはや我慢の限界。
でも周りにはCAFEの一軒もなし。
先を急いで水分補給すべきか、このまま我慢して城に登るべきか。
しばし考えた挙句、古代ローマ人に敬意を表して後者を選択。

延々と続く階段の長いこと。
時々現れる窓からローマの町並みが切り取られて見えます。
それなりに、ローマ文化を堪能しつつ、ひたすら昇ります。
すると・・・ありました。お城の中にCAFEが。

運よく日陰の涼しそうな席をゲット。しかも正面には先ほど行ったサンピエトロ寺院が。
「注文は?」
もちろん、「ドラフトビア!」
「スモール?」
もちろん、「ミディアム!」(本当はラージと言いたかったのですが)
喉が勝手に水分を吸収するのを見届けた後、ゆっくりと眼下の風景をスケッチ。
日本のどこかの観光地のように追い出されることも無く、しばし幸せな時間をすごしました。
ローマって素晴らしい。風景も、ビールも。

2013年9月15日日曜日

サンタンジェロ城


サンピエトロ寺院からサンタンジェロ城までは歩いて10分くらい。
日本では見られない円形の城。
こんな巨大な建造物が紀元123年に建てられたというのですから驚きです。
日本はまだ弥生時代のはず。ローマ帝国の偉大さを改めて思い知らされた気がします。

さて、悩んだのはどこから描くか。
時刻はまだ10時過ぎなのに、照りつける太陽の熱は半端ではありません。
城の円形がきれいに見えて、足元にはアーチの橋がかかって、テヴェレ川には青空が映りこんで、そして何よりも日陰であること・・・。
30分ほど歩き回ってやっと確保した街路樹の木陰の下。
幸いサンピエトロ寺院と違って、ややこしい装飾はほとんど無し。
太陽が昇って木陰から僕を追い出す前に無事に描き終えることが出来ました。

2013年9月9日月曜日

サン・ピエトロ寺院




翌朝、午前8時を少し回ったころ。
有名なサン・ピエトロ寺院に到着です。
朝日が寺院の正面を照らしています。少しピンクがかった外壁と白い柱、水色のドームが絶妙のバランスで浮かび上がります。
回廊の日陰の席を確保し、ドームの曲線や柱のリズムを一心不乱に見つめてペンを走らせる高揚感は、謂わばオペラ座の貴賓席にいるようなもの。

いつものサムホール(紙の大きさ、A5サイズくらい)のスケッチブックではとても収まらないと瞬時に判断して6号(A3より少し大きい)のスケッチブックを取り出しました。
この絵を描き終えようとするころ、僕の視界を何人もの人が横切ります。
ちょっといらついて、われに帰ると、すさまじい人数の人が右手の回廊から僕の目の前まで並んでいます。
そう、バチカン美術館に並ぶ人たちでした。
早起きは三文の徳・・・。
もう少し寝坊していたら、この絵は完成していなかったかも。

2013年9月1日日曜日

サンタ・マリア・デラ・ヴィットリア教会


2枚のスケッチを終え、ちょっとローマの風景に慣れてきました。
「ディオクレティアヌス帝の浴場跡」をちらと見て、次に向かったのは「サンタ・マリア・デラ・ビットリア教会」。
大きな道路の交差点に建ち、実はこのあたりが現在のローマ市の中心だとか。
とは言っても周りには近代的なビルはまったく無く、どこまで言ってもローマ情緒たっぷり。

さっそくスケッチを始めたものの、時刻は夕暮れ。
太陽は西に傾き、逆光をまともに受ける最悪のコンディション。
それでもぎらつく夕日に屹然と建つ石の存在感、三角の破風と十字架のシルエットが美しくて一気に描き終えました。

でも気がついたのです。
いつもなら「夕陽」に茜色に染まる屋根が・・・と書いたはず。
そう、ぎらつく「夕日」に照らされる姿もまたローマの風景なのです。


追伸
この日、この後「クイリナーレ宮」「サンカルロ・フォンターネ教会」を駆けるようにして見ました。
後者は奇才ボロミーニの設計。
規律正しいルネサンス建築とは一味違う、個性的な曲線デザインが感動的です。
ガイドブックの扱いが小さかったせいもあって、時間切れでスケッチできなかったのが心残りです。
ローマに行く予定のある方、是非時間を取ってじっくり見てください。

2013年8月25日日曜日

ローマ サンタ・マリア・デル・アンジェリ教会

さて、共和国広場をスケッチしたあとは、広場に面するサンタ・マリア・デル・アンジェリ教会へ。
当然、「入場券ブース」などという無粋なものは無く、入り口前に立つおじさんに直接入場料を渡して入ります。

この教会はガイドブックのお勧め度は星二つ。だからたいしたことがないとわかれば、すぐ次の建物に行こうと思っていました。
ところが一歩足を踏み入れた瞬間、その壮大な宗教空間に圧倒されてしまい、スケッチブックを取り出さずにはいられませんでした。

壮麗さの秘密は、まず内部空間の巨大さ、次に柱と壁の重々しい装飾、そして対照的に軽やかに浮かび上がる白い天井です。

ペンを走らせながらも心地よい静けさに、時間を忘れ、気がつくと1時間が経過していました。
いかん・・・今日中にあと4つ見なければ。

2013年8月12日月曜日

富士の見える車山





学生時代に夏合宿で車山を訪れた数年後、今度は社会人として、全く同じ場所を訪れることになりました。
会社の先輩方々を前に「もう行った」とも言えず神妙に「楽しみにしています」と答えたはず・・・です。

その日は、年に1度あるかないかの快晴。
「もう見た」はずの車山でしたが、はるか向こうに、以前は見えなかった富士山がくっきりと見えています。

思わずスケッチを始めたのはいいのですが、夢中になって、集合時間をおくれてしまいました。
皆の白い目線がとっても気になったのですが、時すでに遅し。

社会人として、大いに反省することになった思い出の一枚でした。


2013年8月4日日曜日

真夏の車山


今から40年前。
今日と同じように暑~い夏。そして僕の青春真っ盛りのころ。
名古屋で大学生をしていた僕にとって、夏の大イベントは美術部の合宿でした。
アルバイトで稼いだお金を、ちょっとリッチに使ってスケッチ旅行をしたものです。

とは言っても、憧れの京都や奈良は、予算不足。
かくして毎年、本来は冬のスキー客を当てにした民宿を格安で夏に借りるという、軟弱な美術部員が差配するツア-のおかげで、学生達が若くて熱い、そしてかなり軽薄な美術談義を避暑地で交わすことができたのです。

さてこの「車山」。有名な霧が峰の最高峰で標高1925mあります。
当時はそんなこともほとんど興味がなく、仲間に誘われるままに頂上へ上りました。
そしたら、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!

それまで「山」と言えば標高338mの岐阜の金華山しか知らなかった純真な僕にとってはまさに未知の風景でした。

2013年7月28日日曜日

メキシコの民族衣装を着た婦人

本当に暑い夏です。
こんな日にスケッチに出かけたりしたら、たちまち熱中症になってしまうに違いありません。
というわけで、今週も人物画。

タイトルは「メキシコ」としましたが、実はモデルさんにどこの衣装かを聞くのを忘れてしまって、答えは定かではありません。
でもそれなりに調べて、僕なりに確信があります。
その理由のひとつは、インディオの伝統でメキシコの女性の衣装には肩と胸に刺繍を施すのだとか。
さらにポンチョ風のゆったりとした作り。
そしてワイルドなデザインの麦わら帽子。

どうです?
これだけそろえば間違いなく「メキシコ」の衣装に違いないと思いませんか。
えっ、でも違和感がある?
しょうがありません。
残念ながら、着ている人が日本人なのですから。

2013年7月20日土曜日

ポニーテールの少女

しまった!

いつものように人物画教室でスケッチブックを広げた瞬間、愛用の鉛筆を忘れてきたことに気づきました。

幸い手元にはサインペンが一本。
たまにはペンの人物も悪くないと開き直り、立ちポーズに挑戦。
実は立ちポーズは全体のプロポーションのごまかしがきかないので、ペン画にはつらいのです。
だからちょっと線が震えているのも、ご愛嬌。

夏らしく、ポニーテールがさわやかなお嬢さんでした。







2013年7月14日日曜日

大原のコスモス


実は、大原を訪れたのは昨年の秋。
この季節、大原の畑はご覧のようにうす紅色に染まります。
いつもは京都らしさを演出してくれる瓦屋根も杉の木立も、一面のコスモスの前では単なるモノトーンの背景に過ぎません。
紅葉にはちょっと早いので、観光客は少なめ。
大原らしい風景をじっくりと味わうには、この季節が案外正解かもしれません。
ちなみに僕が行ったのは、11月1日。
同じ体験をしたい人は参考にしてください。



2013年7月7日日曜日

三千院


京都大原、三千院を訪れました。
有名なのは本堂。たびたび観光ポスターにも使われているようですが、個人的には特に惹かれるものはありませんでした。

でも庭園の雰囲気はすばらしく、せっかくき来たのだから・・・と木立の茂る参道を歩き回り、どこか絵になるところはないかと探した末、見つけたのがこれ。
木と木の間からちょうど山門が顔を見せてくれる絶妙のポイントです。

空はほとんど葉で覆われて、その隙間からわずかな明かりがこぼれるのみ。
そして地上に届くわずかな光を一面の苔が集めてくれるのでしょうか。
本当は薄暗いはずなのに、なぜか空気がぼんやりと黄緑色に光っているのです。
この不思議な空間の魅力、いつかじっくりと描いてみたいものです。

2013年6月29日土曜日

ピンクのストール

白いブラウスとブルーのミニスカート。
眩いばかりの健康美です。
ちょっと冷たい表情に、ピンクのストールがよく似合います。

2013年6月16日日曜日

バレリーナ


今回のテーマはバレリーナ。

デッサンの天才と言われたドガが生涯追いかけたテーマでもあります。
彼が描きたかったのは白い衣装につつまれた柔らかな人間の動き。

日曜画家も思いは同じ・・・と言いたいところですが、実は白の絵具がない透明水彩にとって「白い衣装」を表現するのはとても難しいのです。
悪戦苦闘の末、「白」を残して筆を置いたのがこのスケッチ。

踊りだす前のトーシューズのひもを結び直すポーズです。
静かな緊張感を感じてもらえたでしょうか。

2013年6月9日日曜日

Tさんの肖像

今年も梅雨の季節に入ってしまいました。
屋外でのスケッチは当分できないかもしれません。
というわけで、今週は人物画です。

このモデルさんは、正直言うとあまり特徴がありません。
ポーズも平凡で衣装もいまひとつ。

でも魅力を見つけました。
なんとなく、暖かくて、安心感を覚えるような、穏やかな表情・・・。
タイトルの「Tさん」にはそんな親しみをこめたつもりです。


2013年6月2日日曜日

30年前の相楽園


5月の相楽園の見所は新緑の和風庭園だけではありません。
昭和38年に移築された「異人館」旧ハッサム邸と明治43年に建てられた洋風建築の厩舎が並んで建っています。ハッサム邸のユニークなデザインの2本の煙突と、厩舎のドーム屋根がその存在感を際立たせています。

左下のサインをご覧ください。実はこの絵は昭和58年5月3日に描いたもの。
もちろん新緑の美しさはこの時も、今も変わるところはありません。
でもこの絵にはひとつだけ現実と違うところがあります。
実は今のハッサム邸には煙突が一本しか無いのです。
何故でしょうか。
そう、1985年の阪神淡路大震災で煙突が1階まで床を突き抜けて落ちてしまったからです。
震災の記憶を残すためにあえて、元に戻さなかったそうです。

スケッチすることは歴史の断面を書き留めることでもあるようです。

2013年5月26日日曜日

相楽園


今日の最高気温は28度。
でも木陰に入るとさわやかな風が吹き抜けるのは、まだ5月だから。
神戸相楽園の庭園は一面の黄緑色。いつもはちょっと青緑色の松葉までが若葉の色をしています。
きらめく太陽を反射した若葉がさわやかに見えるのは、濃い影が黒く葉っぱを切り取るから。
えっ、当たり前?
そんなことはありません。
春の影は柔らかく、ぼんやりとしています。
夏の影は白く、地面に焼きつけられたようです。
秋には影はありません。赤や黄色の葉が影を消してしまいます。
冬の影は青く、地面に溶け込むようです。

影が美しく「黒く」沈むのはこの季節だけなのです。
だから、いつもは使わない黒の絵の具を少しだけ混ぜてみました。
五月晴れの相楽園、あなたも行ってみてください。

2013年5月19日日曜日

伏見の酒蔵

有名な伏見の酒蔵。
ここを訪れるのは実は3度目。何故今までここをスケッチしなかったかというと、うまい日本酒や地ビールを飲ませる店がいっぱいあって、あれも、これもと銘酒を飲み比べるうちに、だんだんスケッチなんかどうでもよくなってしまう・・・という次第。

だからこの日は、覚悟を決めて・・・でもその前にビールを一杯だけなら・・・と、ちょっとだけ意思がふらつきましたが、それでも、ご覧のように何とか完成。

僕と同じようにスケッチと酒が趣味という方へ。
伏見を訪れるときは先にスケッチを済ませてから、飲むことをお勧めします。

2013年5月12日日曜日

上賀茂 社屋町


京都上賀茂神社の近くに、重要伝統的建造物群保存地区があります。
社屋町とは神社の神官達が住んでいた屋敷群です。
それほど広くはありませんが、小川に沿ってクリーム色の土塀、木立、瓦屋根が並ぶ様はさすが都の品格と思わせます。
そして京都の良いところは背景に必ず程よい大きさの山並みがあること。
建設業会にはあまり評判の良くない京の「景観条例」ですが、「山の見え方」まで制限するのもわかる気がします。







2013年5月5日日曜日

出石の達磨さん

ゴールデンウィーク後半が始まりました。
先週、「龍野」にちょっとがっかりしたので、今週は「そば」で有名な「出石(いずし)」に出かけました。
もちろん龍野にはない「重要伝統的建造物郡保存地区」のお墨付きも確認済みです。

しかし、結局、結論を言うとここも、いまひとつ・・・。
まるで「出石そば」を売ることだけが目的の町のようでしらけます。
「重要伝統的建造物郡」も最近は基準がちょっと甘くなった気がします。

それでも、おやっと思うシーンがいくつかあります。これはそのうちのひとつ、願成寺。
建物の古びた存在感はもちろんですが、ご覧のように門を守る2体の木彫の達磨がなんともユニーク。
えっ、小さくて見えない?
いいんです。そういう方は、まったくの偶然ですが僕と同じように達磨の面白さに目をつけた最近発行された但馬銀行のポスターをご覧ください。
若い女性がしゃがみこんで木彫の達磨さんと見つめあう、とてもほほえましいポスターです。

街自慢は「そば」だけじゃない。

2013年4月28日日曜日

龍野の町並み


龍野は「播磨の小京都」と呼ばれる旧脇坂藩の城下町。
ゴールデンウィークの初日、期待に胸を躍らして電車に飛び乗りました。
姫路から姫新線というローカル電車に揺られ20分。ワンマン電車らしく、自分でボタンを押してドアを開き、ホームに降り立ちます。

江戸の文化と龍野の自然がとけあった見事な町並み・・・
は、残念ながらどこにもありませんでした。
あるのは、格子戸を取り払い、シャッターやアルミサッシを嵌め、うだつの横にエアコンの室外機を置き、腰の木羽目をタイルに張り替えた奇妙な建物ばかり。
あるいはコンクリートブロック塀に白ペンキを塗って「白壁の通り」とうたう無神経さ。
絵になるシーンを足を棒にして一日中探しましたが、「美しい」と思える場所はとうとう見つからず。

「今日は成果なし」と諦めかけましたが、考えてみれば僕の憤りは「地方の真実」でもあります。
それを描くのも悪くない。

ご覧のように、屋根は崩れかけ軒先は垂れ下がっています。
柱の間には、やはりシャッターが。色はくすんでもう何年も開けた形跡がありません。
人はもう住んでいないのだろうと思っていたのですが、スケッチブックを閉じ、帰路につこうとした瞬間、人が出て来ました。
どうやら用事は壁に埋め込んだ(赤と青の)自動販売機のメンテナンスのよう。
この町並みの真実がここにあります。

2013年4月21日日曜日

伏見稲荷のお茶屋


ちょっと意外ですが、伏見稲荷には付属する「お茶屋」があります。右の入母屋の建物がそれ。
江戸時代初期の建物で重要文化財に指定されています。
普段は見られませんが、この日はちょうど特別公開。

さっそく内に入ると、茶室ならではの静かなモノトーンの世界が広がります。
鳥居の朱色に慣れた目にはとても新鮮で、思わずスケッチブックを手にしますが、絵にするにはちょっと室内が狭すぎるのです。
それならせめて外からと、庭に出てスケッチを始めました。

ところがじっと動かぬ僕をこれ幸いと狙ったのか、猛烈な薮蚊の襲来を受けます。
ペンを動かすことよりも、蚊を叩くことに気をとられ、いらいら・・・。
苦労して探したこの構図、真っ赤に腫れた手の甲がその代償です。

2013年4月14日日曜日

伏見稲荷 千本鳥居

さて聖母女学院をスケッチした同じ日、実は有名な「伏見稲荷」を訪れています。
関西に住んで30年ほど経つのにまだ、全国3万社、稲荷神社の総本山たる「伏見稲荷」に行ったことがなかったからです。

建築的には本殿が重要文化財に指定されていますが、個人的には朱塗りの派手なだけの建物でスケッチする気が起きません。

それに比べて圧倒的な存在感を示してくれるのがこの「千本鳥居」。
上へ、上へ・・・神の領域に近づく赤いトンネルが延々と続きます。
単調な歩みを刻んでいると、一瞬黄泉の国へこのまま続くのかという不安がよぎります。

所々に鳥居の道の裂け目があります。
現世への出口を見つけた気がして、思わず鳥居を抜け出してしまいました。
その時のスケッチがこれ。

山の中をただ、延々と赤い鳥居が続くだけ。
本殿のような装飾は一切ありません。

建築ではないから「重要文化財」の指定もなし。
でも、そんなふつうの定義で測れない建造物が間違いなく存在します。

2013年4月7日日曜日

聖母女学院本館


京都伏見にある「聖母女学院」。
旧陸軍の兵舎として使われていただけあり、人を簡単には寄せ付けない威厳があります。
加えて、正面にはいかにも警備が厳しそうな鉄の門と警備室。

断られるのを覚悟で、「スケッチをするだけなので入ってもいいですか?」とお願いすると、意外にも簡単にO.Kが出て、しかも建物のパンフレットまでくれました。
中を見るとこの建物の100年の歴史やら、イオニア式石柱、レンガの積み方など様式の解説まで記されています。
最近はライトアップに取り組み、2010年6月にはなんと「北米照明学会賞」を受賞しています。(この賞を取るのは相当むつかしい!)

どうやら、この建物を学校と地域のシンボルとして育てていこうとしているようです。
警備員さんが親切だったのも、建物を愛する人に寛大な学校の方針だったというわけです。

2013年3月31日日曜日

大手門の桜


桜の季節がやってきました。
どこの桜を観ようか・・・さんざん悩んだあげく、大阪城へ。

ここは大手門をくぐった正面。有名な大阪城の巨大石垣の前に立つ桜の木です。
石の悠久たる存在感を嗤うかのように、軽やかに薄紅の花びらが宙に浮いています。
雲海のようでもあり、雪のようでもあります。

お花見の喧騒をよそに、静かに咲き誇る桜も素敵です。

2013年3月24日日曜日

旧大阪市立博物館


ちょっと風変わりなこの建物。
実は大阪城の隣に建っています。
竣工は昭和6年。設計は「陸軍」となっていて、個人名はわかりません。

大阪城との調和を考え当初は和風の案も考えられたようですが、博物館という機能上「洋風」となり、それならというわけで西洋「中世風」のデザインとなったとか。
それゆえ、内部のデザインもかなり凝っているらしいのですが、残念ながら現在は使われていないため、一般の人は見ることはできません。

せっかくの大阪らしい、この資産。
眠らせずに有効活用して欲しいものです。
橋下市長のお手並み拝見!。

2013年3月17日日曜日

金戒光明寺三重塔

さて小さな柔道家たちに別れを告げ、向かったのは金戒光明寺。
武徳殿から歩くこと約15分。石段を登りきった一番上にそびえるのがこの三重塔です。
大抵の観光ガイドブックには載っていないせいか訪れる人もあまりいませんが、れっきとした重要文化財。
ご覧のように屋根のプロポーションがとても美しい建物です。

スケッチをしている間、見かけた人影はお墓を掃除に来た家族がひと組だけ。
穏やかな春の一日・・・今日のこの「陽気」を当てた週間天気予報によれば、明日はまた冬に逆戻りとのこと。
本当の春はもう少し先のようです。

2013年3月10日日曜日

武徳殿


3月9日土曜日。
寒かった冬もそろそろ終わり。
週間天気予報の「最高気温20℃」を信じて、今年初めて屋外スケッチに出かけました。
行先は平安神宮の隣にある「武徳殿」。
知る人ぞ知る武道の殿堂で、この日は柔道大会が開かれていました。

さて石段に腰掛けスケッチを始めると、どうやらお父さんの応援に来たらしい、小さな女の子が寄ってきます。
僕のスケッチブックを覗き込み、いかにも興味しんしん。
おじちゃんなにかいてるの?
どこからきたの?
どうやってきたの?
となりすわって見よっと。
・・・
しばらくするともうひとり。
あやかちゃん。なにしてるの。
おじちゃんのえ見てるの。
ふーんひとしくんよりじょうずね。
じゃ、あたしこっちにすわって見よ。
おじちゃん、名前は?
おくさんいるの?
こどもはなんさい?
・・・・
すごーい。はやくかけていいな。
でも、おひるまでかかる?
じゃここでおべんとうたべよか。
おじちゃんは、もうたべたの?
・・・
おわった?
じゃ、いぬかける?
わたしのぬいぐるみみたいの。
あそこのからすは?
じどうしゃは?
・・・
じゃ、わたしかいて。あっ、ふたりならんで。

というわけで、二人に似顔絵を描いてあげました。
二人はこの前の柔道大会で1位と2位だったとか。
未来のオリンピック選手がこの武徳殿から誕生するかもしれません。

ばいばい。またね。






2013年3月3日日曜日

伊勢川崎町の並み


この日、長年携わった伊勢での仕事が終わり、ちょっと骨休みの休日を取りました。
この河崎町はすでに何度か訪れていたものの、「多分今日が最後・・・」と思うと名残惜しく、スケッチを残しておくことにしました。

この町の良さは映画のセットのような嘘臭さがなく、日常の生活感があること。
でもそれは逆にいうと、古い商家と新建材をまとった「今風住宅」が混在して、町並みとしては「絵になる」場所がほとんどないということでもあります。
いかに古くても、残念ながら民家1軒では、どうにも絵になり難いのです。
この場所はそんな町並みの中、向こう三軒両隣に商家が並ぶ貴重なポイントです。

折しも夕暮れ。別れを告げるのにふさわしいシーンとなりました。

2013年2月24日日曜日

龍谷大学本館


この建物は
以前スケッチした西本願寺「唐門」のすぐ近く、龍谷大学の門を抜けた正面に建っています。

その立派な門構えに少々気後れしましたが、正直に「スケッチしたい」と言ったら気持ちよく中に入れてくれました。
さすが、宗教大学。門番さんも人間ができている。


さて、デザインはよく見るとかなり奇抜です。
屋根は和風の瓦屋根なのにそれを支えているのは洋風の石の擬似柱。
そして柱の間には和風の白の漆喰壁と洋風のアーチ窓。
見事に(?)和と洋がごちゃまぜになったデザインです。

設計者は不明。
竣工は明治12年とありますから、おそらく外人の設計者と京都の大工さんのコラボレーションなのでしょう。
こんな不思議な建物が馴染んでしまうのも京都の歴史と伝統のなせるわざなのでしょうか。

2013年2月16日土曜日

堺筋倶楽部

大阪 堺筋というメイン道路に面して「堺筋倶楽部」という建物があります。
昭和6年にできた銀行(川崎貯蓄銀行)建築で、現在は高級レストランに変身しています。

設計者は矢部又吉。調べてみると、同じ作者の建物「川崎銀行本店」が一部明治村に保存されているようです。

以前明治村を訪れたときはそんな関係に気づくはずもなく、見過ごしてしまったのですが、写真を見るとたしかに、窓や入口周りの凝ったデザインがそっくりです。
「まちがいない。こいつだ」などと
設計者の足跡を追う探偵になったような気分で、少し愉快でした。
これもスケッチのおもしろさのひとつですね。

2013年2月10日日曜日

デジタルと手描き

先週「iPad miniで絵は描けるか」と題した自画像を投稿したら、「若すぎる!」「似ていない!」などという忌憚のない意見をいただく一方で、線や塗りに関するデジタルデザインならではのテクニカルなコメントをいただきました。
改めてお礼を申し上げます。

今週は肩のこるデジタルスケッチはではなく、手描きのスケッチにもどります。
画面のサインを見ると描いた日付は2008年12月。ベースはその日2時間で描いたものです。
デジタルペンと違って「鉛筆」で思うように線がひけるというのは本当に気持ちの良いものだと改めて感じてしまします。

でも実はこの日の印象があまりありません。
確か、場所取りに失敗して「つまらないポーズだな」と思った記憶がかすかに残っています。
だから、線が硬い、雑!・・・などと言わないでください。
「手描き」とは感情が現れるものなのですから。

2013年2月3日日曜日

iPad miniで絵は描ける?






最近iPad miniを買いました。
システム手帳を捨て、すべてをデジタル化しようと決心したのです。

軽くて、情報収集が楽でビジネスの場では、文句なしに便利!
そうなると「絵」も描きたいと欲が出ます。

選んだ題材は20年ぶりの「自画像」。
モデルが文句を言わないのが最大の理由です。

さて、感じたのは歳をとった自分を改めて見つめるのも悪くないということ。
目元の皺も、頬のこけも、それなりに認めてやろうじゃないか。
残りの人生、何をすべきか。ちょっと考えるきっかけになったようです。


追伸
使用アプリは「procreate」、ペンは「jot touch」を購入しました。
procreateは操作ツールの画面配置などに工夫があり、タブレットで絵を描くにはよくできています。レイアー機能は秀逸です。
ペンは筆圧感知可能とありますが、反応が鈍く、手描きの微妙な塗りにはとても及びません。
ちなみにこの絵は初めてということもあり、思ったように塗りができず、まる二日(10時間くらい)かかりました。手書きの2倍~3倍の時間がかかるイメージです。
同じようなチャレンジをしている方、是非ご意見をお聞かせください。

2013年1月27日日曜日

立ちポーズ

この日、絵画教室の先生は急な怪我でお休みでした。
でもそれを知らないモデルさんはいつもの通り登場。
急遽、生徒達だけでポーズを決めることになりました。

当然、意見がまとまるはずもなく、結局「お好きなポーズで」ということになり、描いたのがこのスケッチ。

しかし「お好きな」ということは、モデルさんにとっては、「楽な」ポーズということであって、まったく揺るがないその姿は実に自然で、しなやか。

なんとなく伝わるのでしょう。鉛筆の動きもいつになく自然で、滑らかに・・・まあまあの出来栄えとなりました。

2013年1月20日日曜日

白いブラウス

「エジプト」「ハワイ」「スイス」など、このブログで何度となく取り上げた民族衣装には華やかで、エキゾチックな雰囲気があります。

でも、実は衣装の基本は「白」だとか・・・。
そう、今日のテーマは「白いブラウス」。


2013年1月13日日曜日

黄色のベレー帽

先日、フェルメール「青いターバンの少女」(真珠の耳飾りの少女)の実物を見てきました。

憧れの一枚だけあって、絵の前に立つと、視線が引き寄せられて動けません。その魅力のわけを探そうと、いくら凝視しても見飽きない、そんな魅力的な絵でした。
あんな絵が描けたら素晴らしいですね。

さて、そんなわけで僕も人物画にチャレンジ。
同じように、やや首をひねってこちらを見つめるポーズ。
理知的で健康的で・・・なかなかいい表情をしてくれますが、あのちょっと謎めいた、何か言いたげな魅惑的な口元はありません。
えっ、それはモデルの問題ではなく描き手の問題だって?

2013年1月6日日曜日

ソウル出発


ソウルに来るときは空港からバスを利用しました。降車場から数分でホテルまでたどり着けるからです。何しろ言葉もわからない初めての都市。乗り換えを極力避けたいのは人情というものです。

でもまる一日歩き回ると、少し度胸がつき、帰りは鉄道を利用してみることにしました。
ホテルからタクシーでソウル駅へ、そしてとても快適だという噂の超高速鉄道で空港に行こうというわけです。

さてタクシーを降りると、駅の隣にドーム屋根、煉瓦造りと横ストライプという、東京駅によく似たクラシカルな建物があります。実はこれ、「旧ソウル駅舎」。ガイドブックの扱いはぞんざいで観光の対象にはなっていないようですが、僕の創作意欲を刺激するには十分すぎる建物です。(ちなみに設計は辰野金吾ではありません)
帰国までの許された時間を費やし、なんとか完成。
これがソウルでの最後のスケッチとなりました。

賑やかなソウル中心部では韓国の豊かさと国家の権威を感じた僕ですが、このソウル駅の周りには路上生活者がちらほらと見られます。
実はこのスケッチを描き始めたら、そのうちの一人が僕のところに来て「○○○・・・?□□□!」
何を言っているかさっぱりわかりませんが、雰囲気的には
「お前は絵が好きか?これは昔のソウル駅だ!」と言っているよう。
完成するとまた寄ってきて、にこっと笑って「△△△・・・」。
たぶん「お前、なかなかやるな。また来いよ・・・」とでも言っているのでしょうか。

わずか2日の旅でしたが、韓国(の人)がすっかり好きになりました。
お隣に中国という怖い国があることを考えても、この国とは仲良くすべきだと確信しました。