先日、気になる記事を見つけました。芸術新潮1月号の「私が選ぶ日本遺産」です。
とある著名人の言葉を、誤解を恐れず要約すれば、世界遺産や煉瓦建築に惹かれるのは素人であって、文化人(?)は電柱と電線こそ日本の都市景観の面白さを表現していることに気づくべき・・・だそうです。
何たる暴言!・・・この筆者のように建築の研究者ならともかく、大多数の学生やサラリーマンは世界遺産などそうそう見る機会は無いはず。
その彼らに向かって、電柱、電線との比較を説くことには無理があります。
仮にあのうっとうしい姿の奥に何らかの思想が潜んでいるとしても、それを考えるのは個人であって、押し付けがましく教育するのはいかがなものか・・・・?。
何故こんな事を長々と書いたかと言うと、今日載せようとしていたのが、なかなか味のある「煉瓦造」の建築だったからです。
場所は大阪淀屋橋・・・辰野片岡建築事務所設計の「シェ・ワダ高麗橋本店」です。
実は絵を描いている僕のすぐ眼の前に「電柱」が立っており、そこから電線が建物すれすれに縦横無尽に這い回っています。先ほどの筆者なら感激するに違いありません。
この日はここで結婚披露パーティがあったようで、着飾った男女が出て来ました。
楽しそうに語らうこの人達を見ていると、少なくとも「煉瓦つくり」は日常的でない「お祝い」の演出に一役買っていることは間違いないようです。
一方、画面を覆っていた電線は、いわば「日々の生活のシンボル」。
ですから、「邪魔な」電柱と電線は僕の画面からは消えています。
さて、この「電柱談義」・・・皆さんはどう思われますか?